福岡ソフトバンクホークスの選手も知らない!? PayPayドーム&野球の“なぜ”を解決!/何それ!?ワケあり学
何それ!?ワケあり学~PayPayドーム編~
開幕から熱戦続きのプロ野球!“小久保ホークス”は4年ぶりのリーグ優勝を目指しています。そこで「まじもん!」では、PayPayドームを舞台に「誰もが知っている場所の、誰も知らない“何それ?”」に注目し、現役選手や監督経験者も答えられない!? ドームや野球の疑問を徹底解剖します。
「野球の試合が9回までなのはなぜ?」「勝利の花火の仕組みは?」といった、野球観戦がもっと楽しくなる知識が満載です。
Q:ピッチャーマウンドが高くなっているワケは?
ピッチャーが投球するために区切られた円形の「ピッチャーマウンド」。よく見ると、そこだけ土が盛られてやや高くなっています。
A:“バッター有利”を対等にするため
実は、1840年代のアメリカで野球が始まったばかりの頃は、ピッチャーはバッターが指示するコースにボールを投げるルールでした。しかし、それではピッチャーがおもしろくありません。 そこで、スピードが出やすい高い位置から球を投げることで勝負を対等にしたのです。マウンドが高くなりすぎるとピッチャーが有利になるため、高さは10インチ(25.4cm)に定め、この基準が今でも使われています。
ちなみに、土は硬いほうが投げやすいらしく、グラウンドキーパーの川口賢二さんいわく「マウンドを硬くしてほしい!」という選手からの要望は多いそう。そこで、PayPayドームは今年から、粘土質で削られにくい「ブラックスティックマウンドクレイ」という土をアメリカから輸入し、メジャーと同じような硬いマウンドに仕上げているとのこと。
Q:背番号は誰が決めている?
選手を識別するためにユニフォームの背中に大きく書かれている背番号。一体、この番号はどうやって決まっているのでしょうか。
A:球団が決めている
元福岡ソフトバンクホークスの選手でメジャーリーグでの経験もある野球解説者の五十嵐亮太さんによると、ヤクルトの入団当初は球団から決められたとのこと。その後、メジャーからホークスに入団する際に「愛着がある53番が空いていたらほしい」と伝えると「もちろん空けていました」と言われたのだそう。
ちなみに、福岡ソフトバンクホークスの牧原大成選手の8番と36番は、2軍打撃コーチの明石健志コーチから受け継いだもの。「プレイスタイルも一緒だし目指す存在なので」と、教えてくれました。
Q:PayPayドームのダグアウトに青空が描かれているワケは?
監督やグラウンドに出ていない選手の控え席「ダグアウト」。実は、PayPayドームのダグアウトの頭上には、他の球場では見られない青空が描かれています。
A:上を見て頑張ってほしいという選手への思いから
その仕掛け人は、福岡ソフトバンクホークスを二度の日本一に導いた秋山幸二元監督。2010年頃、負けているときにベンチが暗く感じ「失敗しても下を向くのではなく、天井を向いて『頑張るぞ』という感覚になってほしい」という思いから、青空を設置したのだそう。
ちなみに、青空はホームチームであるホークスだけの特別仕様。見比べてみると、雰囲気は確かに違います!
Q:泥だらけのユニフォームが次の日にはきれいなワケは?
グラウンドを走ったりスライディングをしたり、選手のユニフォームは試合のたびに泥だらけ。しかし翌日にはすっかりきれいになっています。洗濯はどうしているのでしょうか。
A:特別な「ホークスコース」でクリーニングをしている
18年前から福岡ソフトバンクホークスのクリーニングを担当しているのが、粕屋町に本社を構える「博文舎クリーニング」。試合終了後にドームからユニフォームを運び出し、深夜0時をまわった頃に作業が始まります。
ユニフォームだけでなく、下着や靴下もすべてクリーニング。なんと、博文舎の洗濯機には何種類もの「ホークスコース」があるのです。さらに、真っ黒になったユニフォームは丁寧な染み抜き作業できれいに。そして、選手ごとに手作業で梱包し、午前5時にすべての作業を終えると、再びドームへと搬送していました。
Q:試合直前のスタメン選手は何を食べている?
ナイターの試合が始まるのは、ちょうど夕飯時。選手たちは何を食べているのでしょう。
A:専属栄養士が管理した食事を食べている
公認スポーツ栄養士の石田美奈津さんが、選手1人ひとりの体重や骨格筋量を把握。「消化吸収のスピードは個人差があるので、時間やメニュー、量などを選手と相談しながらアドバイスしています」と教えてくれました。
今回は、特別にメディア立ち入り禁止区域である選手専用サロンに潜入。主食・主菜・副菜・果物・乳製品がビュッフェ形式で用意されていて、そのときのコンディションによって量などを調整できるようになっているそうです。
「お楽しみメニュー」ということで、時にはクレープが出ることも!
Q:7回の攻防を「ラッキーセブン」と呼ぶワケは?
1試合のうち、7回目の攻撃は「ラッキーセブン」と呼ばれ、試合の潮目として認識されています。
A:予測不能なラッキーを期待しているから
さかのぼること1885年9月30日。シカゴ・ホワイトストッキングス(現シカゴ・カブス)のリーグ優勝がかかった試合でのことです。7回にホワイトストッキングスのとある選手が打ち上げた平凡なフライが、風に運ばれなんとホームランに! これが決め手となり優勝したことから「あれはラッキーセブンだよ」と言う人が現れ、以来、予測不能な幸運を期待して7回目の攻防は「ラッキーセブン」と呼ばれるようになったと言われています。
Q:PayPayドームにホームランテラスができたワケは?
走り回る外野手を間近に感じられる「ホームランテラス」は、ド迫力の野球観戦ができる人気の観客席です。
A:ホームランを増やすため
かつては「ホームランが出にくい」と言われていたPayPayドーム。しかし点数が入ったほうが試合は面白くなります。そこで、ホームランを増やすために設置されたのが「ホームランテラス」というワケです。
Q:PayPayドームにあるファウルポールの名前とその特典は?
ドームの両翼にあるオレンジのファウルポール。2022年、球界で初めて名前がつけられました。
A:マルタイ棒ラーメンポール
その名も「マルタイ棒ラーメンポール」です。命名から2カ月後に開催された対西武ライオンズ戦では、中村晃選手が打ったホームランがポールに直撃!
実はこのポールはユニークな特典付きで、なんと、ファウルポールにホームランを当てた選手には「マルタイ棒ラーメン1年分」が贈呈されます。中村選手は「1人では食べきれない」と、チームみんなでわけたとか。
Q:試合が9回までのワケは?
9回終了時点で勝敗が決まらない場合には延長することもありますが、基本的に野球の試合は9回までとされています。そこには予想外のワケが!
A:シェフたちから「料理の準備ができない」とクレームが出たから
野球チームが最初にできたのは、1845年のアメリカ。当時の野球は「21点を取ったほうが勝利」という決まりでした。しかしストライクやボールなどのルールはまだなく、丸一日かけても試合が終わらない事態に。
試合後はみんなでパーティーをするのが主流だったので「試合が終わらないとパーティーの準備がなかなかできない」とシェフから不満の声があがりました。そこで、当時は「試合は12回で終了」と決められたのですが、「それもちょっと長い」となり「4分の3の9回」になったと言われています。
Q:屋内で花火をあげているのに天井にあたらないワケは?
「勝利の花火」が見られるのも、観戦の醍醐味。実はドームで花火をあげているのはホークスだけなんだとか。
A:規格外のサイズの花火玉を開発したから
30年以上「勝利の花火」をあげてきた花火師の児島光男さんの点火場所は、高さ68mの天井にある5畳ほどの空間です。
実は、打ち上げる場所をフィールドで確保することができないので、ドームでは「つり下げ式花火」を使用しています。さらに、使用する花火玉は通常の半分以下。2年ほどかけてこのサイズを開発し、花火の大きさを通常の半分ほどにすることで天井にあたらないようにしているのです。小さすぎると円を描けないので、ちょうど良い配合に苦労したとのこと。
Q:優勝チームがビールかけをするワケは?
日本のプロ野球界には、優勝したら選手や監督、コーチなどの関係者が互いにビールをかけて祝う風習があります。いつから始まったのでしょうか。
A:シャンパンファイトの風習を真似たから
1959年、日本シリーズで南海ホークスが日本一に輝いた際、ビールで祝杯をあげた選手たちが歓喜のあまり他の選手にビールをかけたのが始まりと言われています。
キリンホールディングス コーポレートコミュニケーション部 アーカイブ室の岸本みなみさんによると「メジャーリーグで経験のあったカールトン半田(半田春夫)選手が当時の南海ホークスに在籍していて、彼がメジャーリーグのシャンパンファイトを真似たことがきっかけと言われています」とのことでした。
スローガン「VIVA(美破!)」を胸に、今年こそは王者奪還! 福岡ソフトバンクホークスの今後の活躍を見逃すなかれ!
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