「同じ薬をもらったのに、前回より会計が高い気がする…」そんな経験はありませんか。実は、薬局の支払額は一律ではありません。薬そのものの価格は同じでも「調剤技術料」や「各種加算」などにより薬局ごとに差が出る仕組みとなっています。今回は、なぜ薬局ごとに値段が違うのか、そして少しでも医療費を抑えるためのポイントをわかりやすく解説します。
同じ薬でも会計が変わる理由とは?
最初に、薬そのものの値段は全国共通です。しかし「調剤技術料」が薬局によって異なるため、会計に差が生じてしまうことがあります。ここではその特有の仕組みを解説します。
薬そのものの値段は全国共通
薬そのものの値段のことを薬価(薬剤料)と呼びます。薬価は国が定めており、先発医薬品か後発医薬品(ジェネリック医薬品)の差はあるものの、同じ薬であれば全国一律の値段となります。
差が出るのは「調剤技術料」
一方、「調剤技術料」というものが薬局によって異なるため、同じ処方箋でも薬局によって支払額に差が生じることがあります。調剤技術料とは、処方箋に基づき薬を調製する際の技術や手間に対する手数料です。
さらに詳しくいえば、調剤技術料は基本となる「調剤基本料」や「薬剤調製料」に、薬局の体制に応じた「加算」が加わる仕組みとなっています。これらは国の基準によって点数が定められており、薬局の規模や設備、対応力によって算定できる点数が異なります。
調剤基本料:薬局の規模や立地、処方箋の受付回数等で異なるベースの料金
地域支援体制加算:夜間・休日対応や在宅訪問を行う薬局に加算
医療DX推進体制整備加算:電子処方箋やオンライン資格確認導入薬局に加算
この中でも特に身近に関わってくるのが一つ目の「調剤基本料」であり、次の章で詳細を解説します。
医療機関が近いほど安い「調剤基本料」
前章でも触れた通り、「調剤基本料」は薬局の規模や立地、処方箋の受付回数等で異なります。
以下に薬局の種類毎の調剤基本料をまとめました。
特定の医療機関が近くにない薬局や個人が経営する薬局:47点(調剤基本料1)
病院やクリニックのすぐ隣や目の前の薬局:30点(調剤基本料2)
大型チェーンの薬局:25/20/37点(調剤基本料3(イ/ロ/ハ))
病院やクリニックと同じ敷地内にある薬局:5点
ご覧のように、調剤基本料は薬局によって点数に差があります。最大となる47点の薬局と最小となる5点の薬局では、同じ薬でも420円(1点=10円)もの差が生じてしまうのです。
一般的に、医療機関に近い薬局ほど調剤基本料は低くなる傾向です。特に安いのは病院やクリニックと同じ敷地内にある薬局であり、いわゆる「敷地内薬局」や「門内薬局」と呼ばれるものです。
また、全国に何店舗もある大型チェーンの薬局は、処方箋の受付回数が多い等の理由から、調剤基本料が個人薬局と比べると低めに設定されています。
薬代をさらに抑える“薬局の賢い使い方”
薬局の使い方次第で薬代をさらに抑えることも可能です。ここではすぐに実践できる薬局の賢い利用方法についてご紹介します。

ジェネリック医薬品を選ぶ
「ジェネリック医薬品」とは、新薬(先発医薬品)の特許が切れた後に製造・販売される医薬品を指します。国の厳しい試験をクリアし、新薬と同等の効果と安全性が認められていますが、持病を複数持っているなどで薬の処方量が多い方の場合は、ジェネリック医薬品を積極的に使ったほうが負担軽減となります。
また2026年6月より新薬の自己負担額が増えるため(詳細は後述)、今後はジェネリック医薬品の恩恵がより大きくなります。
お薬手帳の持参(電子処方箋・アプリ活用)
3カ月以内に同じ薬局で「お薬手帳」を提示すると、薬局での窓口負担が軽減されます。これはお薬の飲み方や副作用に関して説明した場合に発生する「服薬管理指導料」が軽減されるためです。無駄な出費を抑えるためにも、お薬手帳は忘れずに持参するようにしましょう。
またお薬手帳は、スマートフォンのアプリから利用できる電子版お薬手帳もあります。紙のお薬手帳を持ち歩くのが億劫な方などはこうした電子版もおすすめです。
かかりつけ薬局を1つにまとめる
かかりつけ薬局を利用すると「かかりつけ薬剤師指導料」が発生します。これは患者さんが特定の薬剤師を指名し、継続的な服薬指導を受ける際に発生する手数料です。
しかし、かかりつけ薬局を利用することで「重複投薬を防ぐ」「残薬状況に応じて処方日数を調整し、余分な薬の処方を削減できる」などのメリットが生じるため、支払いの総額でみると無駄が減り安上がりになることがあります。
特にいくつもの医療機関を利用している方の場合は、薬局を一つにまとめかかりつけ薬局として利用したほうが費用削減になりやすいでしょう。
長期処方を相談する
慢性的な疾患を持ち、継続的に薬の処方を受けている方の場合は、医師に「長期処方」を相談してみるのも一つの方法です。長期処方というのは「90日分以上の薬を一度にまとめてもらう」のように大量の薬を一度にもらう方法であり、薬局に行く回数が減り調剤基本料の支払い回数を抑えられるため節約になります。
処方には制限があるため、どんな薬でも長期処方が可能なわけではありませんが、高血圧や糖尿病のようなポピュラーな慢性疾患であり、かつ症状が安定している方であれば、許可される事が多いようです。
2026年は薬局・医療費制度が改定へ
2026年から薬局・医療費制度が改定され、患者側の負担が大きくなる予定となっています。ここでは特に身近に関わってくる「新薬(先発医薬品)の自己負担引き上げ」と「OTC類似薬77成分の自己負担額引き上げ」の2つについて解説します。
先発医薬品を選択した場合の追加負担について
2026年6月より、後発医薬品(ジェネリック医薬品)がある先発医薬品(長期収載品)について、先発医薬品の処方を希望する場合、特別料金の支払いが発生します。新薬とジェネリック医薬品の価格差の2分の1相当の料金が特別料金となります。
例えば、先発医薬品の価格が1錠100円、後発医薬品の価格が1錠60円の場合、差額40円の2分の1にあたる20円を、通常の1~3割の自己負担とは別に特別料金として支払うことになります。
詳細は厚生労働省のページをご参考ください。
OTC類似薬77成分の自己負担額引き上げ
「OTC類似薬」とは、薬局で市販されている「OTC医薬品(市販薬)」と同じ有効成分や効果を持つ、医療機関で処方される薬を指します。2026年より、市販薬と成分が類似する77成分に対し、費用の25%(4分の1)を患者側が自己負担する特別料金制度が導入される予定です。
例えば、1錠1000円のOTC類似薬の場合、25%分にあたる250円が特別料金として今後は上乗せされます。
以上のように、まったく同じ薬であっても薬局や買い方によって支払額に差が生じてきます。「病院近くの薬局に変える」「お薬手帳を持参する」などちょっとした心がけでも支払額が減らせることがありますので、まずは簡単にできる部分から改善してみてはいかがでしょうか。
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