実はこの場所1日に2回、陸続きとなり穴のそばに近づける。タイミングをあわせて記者が訪れた。
「大きいですね。下から見ると迫力がありますね。神秘的です」(RKB下濱美有)
穴は高さ10メートル、幅12メートル、奥行き30メートルもある。岩山を貫くこの大きな穴はこの地域の民話にも登場する。
「神功皇后が弓に矢をつがえ北に向かって放ったところ、矢はこの山を貫いて遙か先の岩屋に命中」(地域の民話より)
神功皇后が放った矢が貫通してできた穴?なんとも神秘的な話だが、果たして真相はいかに。私たちは芦屋町の資料館を訪れた。
「あれは海食洞穴と呼ばれるものです。海の波が柔らかい岩を削って作ったものなんですね。洞山といいます。大体3000年くらい昔に穴が貫通したんだろうと言われています」(芦屋歴史の里・山田克樹学芸員)
さらに、案内してもらうと・・・。
「この穴の中に木がありますね、朽ちていますが少し残っています。周りはセメントで固めたあとが残っています。ここが人間が柱を立てたと分かる場所です」(芦屋歴史の里・山田克樹学芸員)
そして昭和3年(1928年)に作られた地図には洞山付近に「水族館」の文字が読める。
「地方には珍しいんですが観光的な水族館があった。潮だまりを半分に切る形でガラスが埋め込まれ、そのガラス越しに魚を見ることができた」(芦屋歴史の里・山田克樹学芸員)
資料を辿ると、太古の穴は古くから人々に親しまれてきた憩いのスポットだった。しかし近年は風化により岩が次々と崩れ落ちているという。
「もろい岩盤なんです。近い将来、僕たちが生きている間か分かりませんが、おそらくここは穴じゃない状況になると思います。できるだけ後世の人にもこの穴を見てもらいたい。おそらく縄文人も見ていた穴ですから」
波がつくった大きな穴。その姿はいつまで見られるのだろうか。
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