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「あいすまんじゅう」の丸永製菓の驚くべきアイス製造テク!


「あいすまんじゅう」で有名な丸永製菓。アイスクリーム製造で九州最大手の企業だ。そのアイスが長年愛され続ける秘密はどこにあるのか?徹底解剖する!

「あいすまんじゅう」の丸永製菓の驚くべきアイス製造テク!

福岡で長年愛される「あいすまんじゅう」

九州、特に福岡県久留米市一帯では、「冷蔵庫に必ず常備」している人がいるほど愛されているアイスがある。それは、丸永製菓の『あいすまんじゅう』。

今年で発売60年を迎えるロングセラー商品である。ただ、購入して開封後すぐ口に運ぼうなら、固くてなかなか味わうことができない。実は、少し柔らかくなった時点で食べ始めると、バニラアイスとあんこマリアージュをスムーズに味わうことができるという。目安はは開封せずに5分。さらに取材を進めると、あんこはバイラアイスと口の中で混ざり合う上で相性がいいものを選定。そのときヒントになったのが「ようかん」だった。もともと和菓子店だった企業ならではの商品開発。

それにしても、バニラアイスの中にあんこをどうやって入れ込むのか?
それはバニラアイスの2重構造に仕掛けが・・・外側のバニラアイスは空気量が少ない固いアイス。その固いアイスでできたカップの中にあんこを投入。最後に柔らかい空気量の多いアイスを投入して全体を冷やしていくと完成。一口でバニラとあんこが口の中に入り込むように計算されており、ユーザーにベストな状態で味わってもらう工夫が凝らされていた。これこそ、ロングセラーの理由!あいすまんじゅうは、全国各地に出荷されており、久留米発の全国ブランドとしてユーザーをがっちり捕まえているのである。そして5月16日から、「ファンタグレープアイスバー」が発売開始される。

*コンビニでは先行発売中
コカコーラ社とライセンス契約を結び、ファンタグレープをアイスバーとして表現。食べた後の爽快感はファンタの後味に似ている! 数々の商品開発を行い、時には失敗も経験し、日本国内のみならず、世界に挑戦していく氷菓メーカーの活躍から目が離せない。
やって来たのは福岡県久留米市。丸永製菓は久留米を代表する企業として、2022年で創業89年。その代表商品「あいすまんじゅう」は発売から60年を迎えた。
たっぷりの小豆あんを練乳の風味豊かなバニラアイスで包み、福岡県の花“梅”の形に仕上げた和風アイスで、しっとりなめらかな食感がたまらない。年間およそ5000万本も売れている、今や日本屈指のアイスだ。福岡県内ではもはや“県民食”とも言えるほど老若男女に愛されている。そのおいしさの秘密を探ってみよう。

計算され尽くした製造方法!


丸永製菓は安全管理を徹底している。工場に入る際は、手洗い・ブラッシングなどの他、なんと眉毛の手入れまで!中に入るまでにおよそ15分もかかるのは、国際的な安全基準を満たしているからこそだ。
あいすまんじゅうの製造工程はこうだ。まず、冷やした梅の花の型枠に液状のクリームを流し込み、周りが固まったところでいったん中のクリームを取り除くと、コップ状のアイスができる。そこに小豆あんと再びクリームを流し込み、固まらないうちに棒を差して冷やすと完成だ。
あいすまんじゅうの要である小豆あんのヒントになったのは“ようかん”だという。実は丸永製菓は、もともと和菓子を製造するお店として創業。小豆あん作りには長年のノウハウがあった。しかし、冷やしても固くならないあんこを作るのは未知の領域。試行錯誤を続け、ようかんのような水分量を減らした小豆あんを使うことで、凍らせても固すぎず、なめらかな食感を生み出すことができた。
また、食べた時の小豆あんまでの到達距離をおよそ5ミリに定め、一口目から小豆あんとバニラアイスを同時に味わうことができるように計算されている。さらには1本のアイスの中で、クリームに含まれる空気量を絶妙にコントロール。中のクリームは空気量が多く、ふんわりと口どけを良くしている一方、側面はあんこを支えるために空気量を減らし、固めのクリームにしているのだ。

毎日味見を欠かさないのも、丸永製菓の徹底ぶりだ。改良と工夫を重ね、日々品質の管理に努めてきた。その甲斐あってあいすまんじゅうは、1996年から2007年と2009年から2020年、モンドセレクション金賞を受賞している。

日本初!世界的飲料・○○アイス!


これまで丸永製菓は様々な商品を世に出してきた。常識にとらわれない商品開発を行う中で失敗もあったが、それでも挑戦を続ける。
2022年、世界的な飲料メーカーのアイス商品を開発した。その名は「ファンタグレープアイスバー」。アメリカのコカ・コーラ社とライセンス契約を結び、ファンタのアイスを作ったのだ。

社運をかけて作り上げたこの商品の構想は、足かけ1年半。丸永製菓は、若者・ファミリー層向けの商品開発を目指し、日本で愛され続けるファンタに目を付けた。ファンタをアイスにするのは日本初の試みでもあり、自慢の商品が完成した。

「出荷ベースでプラス20億円ほどを見込んでいる。今年だけで終わらせるような商品ではない。ちゃんとファンタらしさを表現できるような商品づくりをこれからもやっていかなければならないと思う」と、丸永製菓の永渕寛司取締役。自信をのぞかせ力強く語ってくれた。

(文:軽部 明香里)

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