“日本名水百選”に選ばれる菊池渓谷がある菊池市は、熊本県を代表する米処でもある。水と米に恵まれたこの土地に6年前に移転してきたのが、酒造メーカー「株式会社 美少年」。熊本を代表する銘酒「美少年」のメーカーは一時、廃業の危機に瀕したが、紆余曲折を経て、この地に辿り着いた。工場の場所として選んだのは、小学校跡地。廃校になった校舎をそのまま残し、内部に多少の手を加え、酒蔵として活用している。校舎端にある給食室で米を洗ったり、蒸したり。その隣にある校長室は改装して、麹室に。長い廊下にパイプを這わせて、酒作りのタンクへつないでいる。通常の酒蔵では２０人前後で行う酒づくりを、ここではわずか4人の若者が担当している。最年長はリーダーの藤江勇輔さん、34歳。驚くことに、全員酒づくりについては、ほぼ素人だ。前職はジムのトレーナーや工場のライン製造など。藤江さんは飲食業からの転職組だ。
そんな4人の唯一の共通点は、菊池界隈で生まれ育った「菊池好き」であること。挑むのは「オール菊池」の酒づくりだ。酵母もあえて一新した。地元菊池の米、菊池の名水を使い、菊池っ子たちが作る新生・美少年。その挑戦を追った。
(製作：ＲＫＫ熊本放送 / 久保田 泰代）
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