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玄海椿 芝居道

九州を拠点に活動する舞台女優、玄海椿(げんかいつばき)さん(56)。彼女の主な舞台は、お寺、公民館、居酒屋・・・。いつでもどこでも、お呼びがあればカセットデッキ片手にどこにでも駆けつけ、一人芝居を披露する。「どこでも私のブロードウェイ」と椿さんは言う。歴史の表舞台に登場しない女の強さ、優しさ、怖さも描いて、オリジナルの演目は20を数える。椿さんは、二十歳のときに福岡の劇団テアトルハカタに入団、すぐに頭角を現し看板女優として主役を演じるようになる。25歳で結婚。三人の子どもに恵まれるが、劇団との両立は難しくやむなく退団。しかしどうしても芝居を忘れることができず、悩んだ末に選んだ道が、自ら出かけて演じる一人芝居。これまで椿の一人芝居では、長女愛咲さん(あずさ)(23)が常にタップダンスや歌で前座を務め、黒子で紙ふぶきも飛ばしてきた。愛咲さんは16歳で女優を目指して上京、才能は瞬く間に開花し、わずか二年足らずで「屋根の上のバイオリン弾き」や、「レ・ミゼラブル」で大役に抜擢される。現在は劇団四季で主役を務めるまでに成長した。椿さんが夢にまでみた大舞台をあっさりと実現した長女を「誇らしく思う」一方で、「私も負けていられない」と、椿さんの女優魂に火がつく。
椿さんは永年、熊本で劇団の講師を務めてきた。今年4月、立て続けに大きな地震に見舞われた熊本。椿さんは教え子全員の安否を確認するまで夜も眠れなかったという。教え子の中に、被害の大きかった益城町出身の緒方公星(おがたこうせい)くん(17)がいる。俳優志望の緒方くん、高校を出たら東京に出たいと話していたが、地震を機に熊本に残ることを決心したという。
(制作:RKK熊本放送 / ディレクター:井上 佳子)

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