PageTopButton

復活!薩摩ボタン~海を渡る小さな薩摩焼~

室田志保さん(37)は、鹿児島の伝統工芸、薩摩焼の絵付師だ。絢爛豪華な金彩色が特徴の白薩摩。けれど、彼女が絵付けするのは壷や茶碗ではない。小さなボタンだ。

「薩摩ボタン」。直径15ミリほどのこの小さな薩摩焼は百年以上前に、海を渡っていた。時は幕末、薩摩藩では陶器のボタンを作り輸出していた。討幕運動の資金源になる外貨を得るためだ。折しも、ヨーロッパではジャポニズムブームで、日本画のエッセンスが凝縮されたそのボタンは、人気を集めたという。しかし、その細かい作業故か、いつしか製作は途絶え、幻といわれてきた。

「欧米の人を魅了した幕末の美を現代に甦らせたい」。室田さんは、8年前から、薩摩ボタンの復活に取り組んでいる。師匠も同業者もいない。道具も全て手作り。試行錯誤の日々を重ねて、現代の薩摩ボタンを生み出した。最近は国内外からの問い合わせも増え、薩摩焼が初めて海外に紹介された地、フランスでの作品展も実現した。

直径十数ミリの陶器の上に、極細の毛筆で線を引き色をのせる。緻密で、根気のいる作業だ。番組では、その製作の現場に密着。小さなボタンの上に広がる無限の世界を紹介するとともに、優美で繊細な匠の技に迫る。

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう