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フランスへ!薩摩が作る“鰹節”

鹿児島県枕崎市は、日本一のかつお節の生産地。京料理や高級料亭で使われる「枕崎」ブランドのかつお節を作り出している。

『和食』がユネスコの無形文化遺産として登録され、日本人の伝統的な食文化が脚光を浴びる中、枕崎ではかつお節をフランスの工場で作るプロジェクトが動き始めた。実は欧州連合(EU)は輸入の基準が厳しく、日本から直接かつお節を輸出できていない状況なのだという。

㈱枕崎フランス鰹節の社長・大石克彦さん(55)は、「フランスでみそ汁の味に苦労している日本食レストランの実態を知り、皆が衝撃を受けた。

現地でブームの日本食の普及を後押ししながら、世界市場を開拓したい。」と意気込む。 江戸時代、紀州から薩摩に伝わったとされるかつお節の製造方法。枕崎の人々はかつお節に生活をかけて暮らし、その製法は脈々と今に受け継がれてきた。薩摩のかつお節は、ヨーロッパへ羽ばたけるのか!?
枕崎のかつお節職人達の挑戦はこれから山場を迎える。
<取材先データ>
枕崎水産加工業共同組合
住所:鹿児島県枕崎市立神本町12
TEL:0993-72-3331

取材後記

美味しい! 鰹節と昆布で上手く挽かれた1番出汁を飲んだ人たちが、たった一口で次々と笑顔になる。短時間で“旨み”と“風味”を引き出せる「鰹節」は、世界中の出汁素材の中でも特異なものらしい。そんな日本古来の伝統食材を300年以上も前から鹿児島県枕崎の人々は作っていたと思うと、その奥深さは計り知れないものがあると思った。

50年前には140~150件あった鰹節屋も今や53件。日本人の食生活の変化は生産現場の風景までも変化させている。 そんな中、1年ほど前に浮上してきたフランス鰹節工場建設計画。2万3千人ほどの小さい町からのEUへの進出など出来るだろうか・・・当初は半信半疑の状態だったが、トントン拍子に話が進んでいったのには驚いた。取材を重ねていくと、日本一の鰹節生産地の職人達の強い心意気を感じた。「日本の和食文化を守りたい」というのが、印象的な言葉。最高級の鰹節を作り出すためには、フランス工場での「カビ付け」という最大の難関を越えなければならない。

どの段階の鰹節が出来上がっているか・・・、この秋着工予定の工場が完成しないと定かではないが、来年開催されるミラノ万博で、本場の本物を作り出す職人達の鰹節が使われることを願ってやまない。
MBC 南日本放送 報道局 テレビ制作部 入田 智子

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