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破竹の勢い!未来を変える新素材

夢の新素材と言われる「セルロースナノファイバー(CNF)」。鉄の5倍の強度を持ち、重量は5分の1と幅広い分野で利用が見込まれている。

大分大学理工学部准教授の衣本太郎さん(46)は身近にある物で、「夢の素材」を手軽に作れないかと研究を開始。素材として注目したのが「竹」。なじみのある植物だが、繁殖力・生命力が強く、手入れの行き届かなくなった竹林は周辺の環境を荒らす“やっかいもの”扱いされている一面もある。衣本さんはその「竹」を使い新たな物質を開発させた。

髪の毛の1万分の1の細さという繊維のCNF。それを植物繊維から解きほぐすには特殊な装置、技術が必要となり莫大なコストがかかる。CNF研究企業もそのコストをいかに削減するかに重点を置く中、衣本さんが考案した加工法は特殊な機械を使うことなく繊維を生成している。使う機械は圧力鍋・ミキサーなど、家庭でも再現可能なもの。この技術を「CELEENA」と名付け商標登録した。

この手軽さを大きな特長ととらえ、将来的にCNF産業が確立した場合に大きな強みになると試算。持続可能な産業として発展を目指す。

“やっかいもの”が日の目を浴びるには…奮闘する研究者の驚きのアイデアと「新素材」の将来像について迫る。
取材先:株式会社おおいた CELEENA
HP:http://www.oitaceleena.co.jp 問い合わせやセルロースナノファイバーの情報はHPから
 

取材後記

身近な植物過ぎる「竹」。人々は竹灯籠や籠など様々な形で加工してきましたが、生命力が強すぎるため土地を荒らす厄介者にもなっています。竹の消費を拡大させるため、竹を原料としたセルロースナノファイバーの研究を進めた大分大学の衣本太郎准教授を今回の放送で紹介しました。

高価な機械を必要としない製造方法はとてもユニークでした。市販の圧力鍋やミキサーを使っているのですが、取材風景はまるで料理番組。「まず圧力鍋で〇分熱を加えます」「そして、加熱を終えた鍋がこちらになります」と別の鍋がでてきたときには驚きました。撮影を手伝って頂いた研究室もとても活気があり、学生・スタッフの方が楽しく研究を行っているのが伝わってきました。

遠くない未来に人工衛星の部品として活用がきたいされている「セレーナ」。プロジェクト名は竹から生まれたかぐや姫から「おおいた竹取物語」なんだとか…。
今後の衣本准教授・セレーナの活躍がとても楽しみです!

(OBS大分放送 / 植村 裕)

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