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放牧牛で農地を救え!

全国的に問題となっている離農した土地・耕作放棄地の増加。この耕作放棄地を利用して、新たな農業の可能性に挑む企業が鹿児島にある。志布志市の農業生産法人「株式会社さかうえ」。

ピーマンやケール、じゃがいもなどの野菜類や、牛の飼料となるデントコーンの栽培から販売まで行っている。事業拡大とともに、新たな農地獲得を目指した坂上隆社長(53)は、各地に増加する耕作放棄地を活用し、作物の栽培を始めた。
しかし、一度耕作放棄地になった土地は、草の除去や土壌の回復といった課題があり、元の状態に戻るまでに時間と手間がかかる。そこで2019年から「耕作放棄地を活用した放牧」を始めた。牛たちは、草を食べ、栄養を含んだ良質な堆肥を作り出す。

耕作放棄地を自由に駆け、草や自社生産の飼料で育った牛たちは、低脂質・高たんぱく質な赤身肉となる。
しかし、この耕作放棄地での放牧にも大きな課題が。それは、点在する牛や農地の状態を確認するために多くの人手が必要になることだ。

この課題の解決に挑むのは、人工衛星!
鹿児島大学の教授らと協力し、人工衛星から取得したデータを元に、牛の動きや放牧地の草の量を計測する実験を行っている。
耕作放棄地の再生と放牧の新たな形に挑む、鹿児島の企業を追う。
取材先:株式会社さかうえ
住所:鹿児島県志布志市志布志町安楽2873-4

取材後記

「畑で牛も野菜も育てる」。
その言葉を初めて聞いたとき、なるほど、そういう考え方もあるのかと思いました。
畑で全てを完結させるさかうえにとっては、野菜を育てるのも、牛を育てるのも同じなのだそうです。その証に、野菜の栽培と牛の飼育をするのは、どちらも露地生産課の社員です。

畑で牛を育てるとはどういうことか。初めて訪れたさかうえの放牧地。
そこでは隣の民家からラジオの音が聞こえ、車が走り、本当にここで牛が放牧されているのかな?とさえ思うほどでした。

さらに、この牛たちを管理するために、人工衛星のデータが利用できないか実験していると聞き、びっくり。身近なようで、知らないことばかりの農業の世界。まだまだ新たな可能性を秘めていると感じました。

(MBC南日本放送 / 有薗 千愛)

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