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“群れ”でのびのび飼育! ~沖縄•母子ゾウ物語~

沖縄本島中部にある「沖縄こどもの国」では日本でも珍しい方法でゾウを飼育している。 飼育員を含め“ゾウの群れ”として生活させているのだ。
ゾウは雌を中心とした“群れ”で暮らすと言われている。
だからより野生に近い“群れ”の状態でストレスなく過ごさせようというのだ。
“群れ”のリーダーは安座間健也さん(32歳)。以下、飼育員がリーダーに準じ、ゾウの琉花(16歳)に調教を行う。

10年前、ゾウが来沖した際、インドのゾウ使いから調教の方法を習った。
その後、たった2か月間の研修を経て、安座間たちだけで飼育を行うことになった。 「褒めるだけでは言うことは聞かない。時には叱ることも大事」安座間は実践の中で琉花と心を通わせ、 “群れ”のリーダーとして認めてもらったのだ。
昨年、3月4日、琉花が元気な赤ちゃん(琉美)を産んだ。ゾウの出産は日本ではわずか10例にとどまる。

ワシントン条約により、ゾウは商業目的での輸出入が禁止されている動物だ。
「種の保存」という意味においても、安座間たちの“群れ”で育てる試みは動物園の未来を示す重要な試みなのだ。
ゾウを“群れ”で育てる飼育の現場を視つめる。

<取材先データ>
会社名:沖縄こどもの国
担当者:ゾウ担当飼育員 安座間健也
住所:沖縄県沖縄市胡屋5-7-1
電話:098-933-4190
HP:http://www.kodomo.city.okinawa.okinawa.jp/index.shtml 営業時間:9時30分~18時  休園日:毎週火曜日
入場料金:大人 500円/中・高校生 200円/
4歳以上~小学生 100円  幼児(3歳まで) 100円

1日1回、朝あるいは夕方、ゾウは散歩をしています。運が良ければ見ることが可能です

取材後記

動物園の人気者、ゾウさん。日本におけるゾウの繁殖はわずか10例にとどまる。 オス、メスのパートナーで飼育している動物園が少ないことと、うまく出産した場合でも、 野生で育児を経験していない母ゾウが育児放棄をするケースが増えているからだ。 そんな中、「沖縄こどもの国」では去年、母ゾウの琉花(りゅうか)が元気な赤ちゃんを産んだ。 ゾウは女系の“群れ”を作り、“群れ”の中で子育てをしていくという。

そこで飼育員の安座間さんたちは、自ら“群れ”の中に入り、“群れ”の中でゾウを育てるという飼育方法を実践していった。 この飼育方法はゾウとの信頼関係が築かれていなければ到底できない。

取材で関わらせて頂いた数ヶ月の間、琉花(りゅうか)と安座間さんたちの関係は人間の親子、兄弟のようにも感じられるほどだった。

今、琉花(りゅうか)の娘・琉美(るび)のしつけが始まろうとしている。お母さんゾウのように信頼関係を築いていけるのか… さらに、来年早々にも琉花(りゅうか)の発情期に合わせ、オスゾウの琉人(りゅうと)との交配を進める予定だ。 うまく妊娠すれば、2年後にはまた赤ちゃんが産まれる。お母さんゾウと娘2頭…そして安座間さんたち飼育員…。 その時、また“群れ”飼育の様子を取材してみたい。お姉さんになった琉美(るび)が生まれてくる弟、妹に安座間さんたちがしてきた子育てをする姿を是非、見てみたい!

担当:RBC琉球放送 藤原 廣進

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