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床革命!楽に強く美しく

床コンクリートの施工は重労働だ。すべて手作業なので人手も時間もかかる。
「職人たちの負担を軽減できないか?」福岡県太宰府市の上成工業・木場義幸(こば・よしゆき)社長(62)は、この思いからオリジナル機械の制作に乗り出した。 専門家もいない、設計図もない。100台以上の機械を作っては捨て作っては捨ての繰り返し。失敗と改良を重ねること10年、ついに3機種が完成し、国の内外で特許も取得した。 現場で使ったところ、職人の負担が大幅に軽減され、作業効率も格段に上がった。さらに人の手でやるよりもむらがなく、美しくて強い床に仕上がった。

たちまち建設業界で注目の的となり、国の認定事業として空港や高速道路などの工事にも採用されるようになった。 さらにアメリカの見本市で展示したところ、世界的建設機械メーカー・マルチクイップ社(アメリカ)の目に留まり、製造・販売に関する独占契約を結んだ。

また、新興国からは技術指導に来てほしいという問い合わせが相次いでいる。これまでにカンボジアとインドネシアに職人を派遣した。熟練職人が成し遂げたまさに床の革命だ。
職人不足の解消につながるだけでなく、日本の建築技術の高さを改めて世界に示している。
取材先
会社名:有限会社 上成工業
担当者:木場義幸社長(こば・よしゆき)さん
住所:福岡県太宰府市吉松42-4
電話:092-928-3003
HP:http://jousei-tech.co.jp/

取材後記

木場社長と知り合ったのは1年前だ。去年、この番組で「100年コンクリート!」を放送したのがきっかけだった。
100年コンクリートの主人公・岡田社長が、「画期的な床作りに挑んでいる職人がいる」と紹介してくれたのだ。

木場社長の第一印象は、絵にかいたような頑固職人だった。その日、倉庫に案内された。成功へとつながる失敗作の数々が並んでいた。

10年間、設計図もないオリジナルマシーンの作成に挑んできたのだという。 「100台以上、作っては捨て作っては捨ての繰り返し、数か月かけて作って現場で使って上手くいかなかったらまた一からやり直し」、木場社長はそう言って豪快に笑い飛ばす。

職人としての誇りを持ち、忍耐強く、頭が柔らかい人だ。オリジナルマシーンのネイミングもとってもキュートだ。「サーファー」に「ローリー」、「ハンドマン」、見た目そのままだが固くないし、熟練職人が呼んでも照れずにすむ。 これまで技術一本で勝負して来た熟練職人が「機械化」に挑んだ背景には、建設業界が抱える深刻な人手不足がある。
そして、人手不足は程度の差こそあれ、多くの業界が直面している問題だ。

アイデア一つでこの問題を解決するのは至難の業だが、それに挑んでいる人がいるのであれば、これからも是非取材させてもらえたらと思う。

担当:RKB毎日放送 能見信二

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