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小さくて壮大な“紙の世界”

精巧なレプリカやミニチュアを生み出す「和巧」(大分市)。産業模型制作の分野では全国トップレベルの企業だ。中でも注目を集めているのが、紙製ミニチュアキット「紙創り」。繊細、緻密でリアリティーあふれる仕上がりには、著名なジオラマ作家や大手模型メーカーも太鼓判を押す。

堀博章社長は40年を超えるものづくりのプロ。紙創りを生み出したきっかけは、子供の頃から熱中していたプラモデルだった。ジオラマの中にあしらうひまわりを作るため、産業模型で培ったノウハウを活かして、紙をレーザーでカットする独自の技術を開発。そのジオラマ写真を模型雑誌に投稿したところ、編集者の目に留まり、本格的な商品化へとつながった。

その堀さんのもとに「模型王国」とも称される静岡県の模型組合から、「ジオラマの部品を厚紙で作って欲しい」との依頼が届く。堀さんは数千点の試作を繰り返し、1年後、厚手の素材をレーザーでカットしても焦げ色がつかない商品の開発に成功。その出来栄えに、団体トップの株式会社タミヤ・田宮俊作社長も驚いた。

現在、女性や子供向けの新たな企画も進行中だ。作って楽しい、見て癒される、小さい、けれども壮大な夢の広がる“紙の世界”の魅力を伝える。
■取材先
会社名:有限会社 和巧(わこう)
担当者:代表取締役・堀博章(ほりひろあき)さん
住所::大分県大分市大州浜2-2-30
電話:097-556-7675
HP:http://www.kamizukuri.jp/ その他:紹介した商品「紙創り」は、自社HPのネットショップで購入可能。和巧の工房内でも販売している。海外へは、株式会社M.S.Models(茨城県ひたちなか市)を通じてネット販売している。

取材後記

今回、取材で東京、静岡に行ってきました。そして模型界の各分野トップのみなさんにお会いしました。紙創り商品化のきっかけを作った、ジオラマ作家で模型専門誌編集者・金子辰也さん。自身の作品に紙創りの植物を取り入れている、ジオラマ界で「情景王」の異名をとる世界トップクラスのアーティスト・山田卓司さん。堀さんに女性向け商品の開発を助言した、世界に誇る模型メーカー・株式会社タミヤ社長の田宮俊作さん。堀さんが開発した紙製ミニチュアハウス愛好家の1人である、日本ドールハウス協会会長・相澤和子さん。

みなさん口をそろえておっしゃっていたのが「堀さんのためなら!」。第一線でご活躍の方ばかりですから、当然スケジュール調整は難航しましたが、「堀さんのためなら!」と時間を融通してくださり、取材に全面協力していただきました。 特に、タミヤの田宮俊作社長は、最近はテレビにあまりご出演していなかったのだとか。そんな中、田宮社長もやはり「堀さんのためなら」と、出演を快諾していただきました。

これも堀さんの人徳だと強く感じました。 ワークショップの際には、気さくに子どもたちとコミュニケーションをとりながら、ものづくりの楽しさを伝えていた堀さん。番組の最後で「1つの可能性を引き出すツールとして、紙創りで新しいジャンルを確立できるようにいま、企画が進行しています。まもなく出来上がります。」と語っていました。

堀さんのイメージ豊富な頭の中から、今度はどのような新商品が生まれるのか、楽しみに待ちたいと思います。
担当:OBS大分放送 石川正史

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