PageTopButton

プラスチックごみが大変身

“耐水性に優れて腐らず、何度でもリサイクルして再生可能!!”
そんな万能建材が、長崎市琴海戸根町で作られている『PBウッド』だ。実はこれ、もとはゴミとして捨てられたペットボトルやハンガー、ポリタンクなどの廃プラスチック。木と違い腐食せず、かつ、杉と同等の強度を持つ『PBウッド』、ウッドデッキやベンチの材料として重宝されている。

作っているのは九州運輸機工という運送会社。17年前に菅藤重信社長(68)が新事業としてリサイクルビジネスを始めた。目指したのは、あらゆるプラスチックごみに対応するリサイクル。ひとくちにプラスチックと言っても90種類以上あり、一般的には出来上がりの品質を考慮し、単一素材で行うことが多い。

しかし、それでは一部のプラスチックしかリサイクルできなかった。菅藤は、プラスチックの種類や配合など、独自の研究を重ね、複数の素材を混ぜて良質なリサイクル製品を作ることに成功。新たなリサイクル方法として注目を集めている。 目標は“地廃地消”を実現すること。その土地で出たゴミは、その土地で資源として消費していくという考え方だ。世界で深刻化するゴミ問題に取り組む長崎の企業を追った。
■取材先
会社名:九州運輸機工
担当者:菅藤重信
住所:長崎市琴海戸根町2910-1
電話:095-884-3578
HP:http://www.kyuun-g.co.jp/ その他:PBウッド板材
1枚1000円(黒:1800×93×33mm)
※ベージュは1枚1500円

取材後記

大手飲食店がプラスチックストローの廃止を目指すなど、プラスチックゴミ処理問題は今、まさにタイムリーな話題です。
 
『ゴミはリサイクルへ』 社会の当然のルールですが、自分が出したゴミがどうリサイクルされているのか、きちんと把握している人は少ないのではないでしょうか?
私もこの取材をするまで、もっと多くのゴミが材料リサイクル(プラスチックごみ⇒プラスチックへ)されていると思っていました。しかし、実際はほんのわずか。その半数以上は焼却処分されています。理由は、材料リサイクルには手間がかかる、採算が合わないなどです。
 
今回取材した九州運輸機工も、何年も失敗が続きました。今だって大幅な利益を得ているわけではありません。でも、菅藤社長はじめ、社員のみなさんは諦めませんでした。『きっと社会の役に立つはず。成功するはず』という強い意志を持って地道に研究をすすめ、近年やっとその成果が見え始めました。
 
菅藤社長は、将来的には、このシステムを全国、世界に広めていきたいと言います。
『地廃地消=地域の廃棄されたゴミは地域で消費する』
長崎のような小さな町だからこそ生まれたこの考えが、世界のゴミ処理問題の解決につながるかもしれません。
 
最後に、どんなに研究をかさねても、汚れがひどいゴミや分別されていないゴミはリサイクルすることができないそうです。ゴミを出す側が洗ったり、分別したり、ほんの少し手をかけるだけで生まれ変われるゴミがたくさんあります。
この番組がゴミリサイクルへ興味を持っていただけるきっかけになれば嬉しいです

担当:NBC長崎放送 柴田智恵

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう