PageTopButton

至高の自転車マイスター

プロスポーツの中でも最多の約2,300名以上の選手がしのぎを削る競輪の世界。頂点のS級S班は、わずか9名。かつてその9名のうち5名が自転車フレームをオーダーしていた伝説の職人が福岡にいる。原田徹朗氏(67)だ。

人間のパワーを極限まで引き出すその技はブランド名から「サムソンマジック」と呼ばれてきた。現在は、プロの競輪選手向けから離れた原田氏だが、一般人向けにオーダーフレーム製作に応じている。彼への注文は世界中から舞い込んでいる。最近、山野を走るスピードレースシクロクロス用の自転車をオーダーした選手が初レースに挑んだ。レースの結果は?

現代の高級自転車フレーム素材は最先端技術のカーボンを駆使して軽量化が進んでいるが、細かいオーダーにはこたえられない。対して、原田氏の作る自転車フレームの素材は昔ながらの鉄・スチール製だ。経験と知識に裏付けられた匠の技で鉄のパイプを曲げ、溶接していく。しかし新素材の超軽量フレームの自転車より、原田氏が製作した自転車は、体感としてより軽く速く快適に走れるとオーダーした人たちは口をそろえる。至高の自転車マイスターといわれるフレームビルダーの技術を探る。
■取材先 SAMSON自転車フレーム
会社名:有限会社 原田製作所
住所:〒811-2205 福岡県糟屋郡志免町別府2-8-5
電話:092-937-0821

取材後記

その脚で何億円も稼ぐ競輪選手の中でもS級S班は、約2200人の頂点に立つ「神9」です。それだけに自転車に対する要求は誰よりも高く厳しいものになります。数年目までその過半数の5人が選んだのが原田徹朗さんでした。

「最後でグッとの伸びるように」とか「バッと出てぎゅんと曲がる感じに」など感覚的なプロ選手の要求を的確に捉え具体化した自転車を40年作り続けてきたのです。「会話を通して選手が育ててくれた」という言葉が印象的でした。現在は一般の人のオーダーを受けているということで、今回、私もプライベートでもお願いしましたが、本当によく走ります。一方で走って転ぶのが怖いくらい美しいです。
担当:RKB毎日放送 山田尚

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう