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波を消して海を育てる

波消しブロックで、長崎の海を守りたい!と、長崎県長崎市の造船関連会社『朝日テック』の池田修社長(70歳)は考えている。波によって砂浜が流出する海岸浸食を防ぎ、魚やウニなどが海藻を食べ尽くす海の砂漠化(磯焼け)も食い止めようと開発している人工礁が、ハイブリッド型リーフボール。アメリカの人工礁の技術と日本の藻場を育てる技術を組み合わせたものだ。

穴の開いた独特の形は、横方向の波の力を上方向へ逃がし、波の力を抑える。設置方法も、砂地に置くだけと簡単だ。そして、素材のコンクリートには、海藻を生えやすくするための材料を練りこんでいる。リーフボールは、サンゴなど水産資源の再生を目的に、世界75ケ国で利用されている。

池田社長とリーフボールとの出会いは、約20年前。アメリカでの商社勤務を経て、風力発電事業を手掛けていた時だ。2013年に会社を継ぐために帰国すると、社内に環境開発の部署を作る。かつての縁で、アメリカのリーフボール財団と技術契約を交わし、「リーフボールジャパン」を商標登録した。磯焼けで、一度枯れてしまった長崎の海を、再び豊かにするために実証実験を開始。 社長の夢は、長崎の海に海洋牧場を作ることだ。
■取材先
会社名:朝日テック(アサヒテック)
担当者:池田修(いけだおさむ 代表取締役)
住所:長崎県長崎市毛井首町506
電話:095-878-5710(代表)
HP:https://asahitech.jimdosite.com/

取材後記

池田さんの目標は、長崎の海に海洋牧場を作ること。 子どもの時に、工場近くの海に潜って魚やタコをとっていた。その頃の豊かな海をとり戻したい。それには、新しいものと技術を取り入れること。それがリーフボール(人工礁)

だった。磯焼けに苦しんでいる漁業者は、多い。海藻を食べ尽くすウニを駆除しても追いつかない。これまで、たくさんの事を試したが、あまり上手く行かなかったという声を取材する中で聞いた。環境の変化に気づきにくい海中で、海藻を生やす事は、一筋縄では行かない事をあらためて知った。

リーフボールで、磯焼け即解消とは行かないが、5年後、10年後に解決の切り札になってくれればと思う。日本各地の海で海藻がモジャモジャ生えた長崎発のリーフボールを、ぜひ見たい。

担当:NBC長崎放送 増田 照久

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