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ワクチン担当大臣退任の真相をジャーナリストが解説

岸田首相が、堀内詔子ワクチン担当大臣を3月末で退任させる方針を固めた。五輪担当大臣の設置期限に伴い、閣僚の上限が減るから、というのが表向きの理由だが、果たして本当にそれだけなのだろうか?RKBラジオの朝の情報番組「田畑竜介Grooooow Up」に出演した、ジャーナリスト鈴木哲夫さんが解説した。  

特命大臣に権限はない

確かに、大臣の数が法律で決まっている。オリンピックも終わったので、大臣を減らさなきゃいけない。だからワクチン担当大臣を、ということになっています。しかし、兼務させるなど閣僚として残す方法はあります。しかし、堀内氏はワクチン対応に関して批判多かったですよね。

実際にワクチン担当大臣というのは権限がない。勧告したり報告させたりっていうことはできても、最終的にワクチンの量や取引の金額を決める権限はないんですよ。調整しかできないんです。特命大臣は“やってる感”はあるけど、実際には権限がないから苦労するんですね。特にワクチンに関しては、数の確保や医療機関については厚生労働省、ワクチンの運搬については国土交通省、それとワクチンは冷蔵庫で冷やさなきゃいけませんが、この担当は経済産業省。ほかにも接種を担う自治体のことは総務省、接種後の廃棄物の処理は環境省の管轄なんです。権限は全て各省庁にあって、大臣はそれを調整をすることしかできません。

前任の河野太郎氏と堀内詔子氏とどこが違った?

前のワクチン担当大臣だった河野太郎氏はありとあらゆる手を使って政治主導でした。例えばSNSを使って発信するにしても堀内氏が「ワクチンを打ってください」と繰り返しているのに対し、河野氏は「ワクチンがいま足りない」とネガティブ情報をあえて書き込む。そうするとそれを見た世論は「何やってんだ厚生労働省は!」ってみんな怒るでしょ?この世論をバックに厚労省にぶつけていく。それから何と言っても前の総理大臣だった菅義偉氏は厚労省に直接いろいろ注文を付けていた。それが堀内氏にはなかった。結局、ワクチン政策に対する批判もあるので、大臣の数が決まっているとか言いながら、事実上の更迭となった。しかし表向きに更迭したと言うと岸田総理大臣の任命責任につながるので「大臣の数を調整する」という大義を出してきた、ということです。

ならば、担当大臣のポストは不要かというと、ワクチン政策は各省庁にまたがっているので、これをほったらかしておくとなかなか前に進まなくなります。担当大臣を菅前総理が作ったことは正しいと思います。問題は、担当大臣のいわゆる政治主導力、その力があるかどうかということだと思うんです。

「4回目のワクチン」は停滞する3回目を隠す意図?

それともう一つ、4回目のワクチンに向かって政府が動き出しています。しかし、まだ3回目の接種率は4割にも満たない現状ですよ。こっちを進めることの方が先でしょう。これは自民党の幹部も言っていましたが、3回目の接種が遅れてきたから、後手に回っていることを隠すために「4回目やりますよ」と言っているのだろうと。足元の自民党の幹部がそんなこと言ってる状況ではダメですよね。まずは3回目の接種の推進をもっと広報・発信をしなければいけません。「4回目より先でしょ」って言いたいですね。

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