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外来生物・ミドリガメの殺処分が検討されている!?

縁日のカメすくいでおなじみのミドリガメたちを飼育できなくなる日が来てしまう!?法律の改正によって殺処分を可能にしようという動きがあるという。人間の都合で連れてこられた外来生物の扱いについて、RKBラジオ『田畑竜介Grooooow Up』に出演した毎日新聞論説委員・元村有希子さんに聞いた。  
元村有希子・毎日新聞論説委員(以下、元村):みなさんはミドリガメ飼ったことありますか?

 

田畑竜介アナウンサー(以下、田畑)・田中みずきアナウンサー(以下、田中):あります!

 

田畑:私は(親に)ねだって(カメすくいで)取りましたよ。

 

田中:小っちゃくて、かわいいですもんね。

 

元村:そう、かわいいんです。そして飼育しやすい。ただ、ずっと飼っていると、メスの場合、甲羅の大きさが30cm近くまでなります。しかも寿命が長く、30年から40年ぐらい生きると言われています。いま法律を改正して、ミドリガメの殺処分を可能にしようと検討している、という動きがあるんです。

 

田畑:というと?

 

元村:外来生物法といって、生態系に影響を及ぼす、外国から輸入された生き物を規制する法律です。ミドリガメも正式名称をミシシッピアカミミガメというように、アメリカから日本にやってきた外来生物です。そのため自然の中に放されると、レンコン畑に入ってレンコンを食い荒らしたり、エサの取り合いで日本の在来種のカメが生き伸びられなかったりといった問題が起きています。ミドリガメもこの法律の枠組みの中で規制しようという議論が長い間続けられてきましたが、実際には野放しになっています。理由は2つあって、ひとつはあまりにも飼育されすぎているから。もうひとつは、この外来生物法が“5つの行為を一括して禁止する法律”だからなんです。

 

田畑:その5つの行為って何ですか?

 

元村:指定された動物について、①輸入の禁止②飼育の禁止③移動の禁止④自然界への放出の禁止⑤販売禁止、この5つを一括して規制します。これに従わなければならないということになると、ミドリガメの場合、飼育も禁止ということになり、今飼っている人が近所の池や川に放るのを助長することになってしまいます。

 

田畑:放出もダメですもんね。

 

元村:そう「どうしたらいいんだ!」ってなります。つまり法律の使い勝手の悪さから放置されていた問題でした。しかし、このままではいけないということで、法律の改正に向けて、ミドリガメとアメリカザリガニを対象に5つの禁止事項を全部適用するのではなく「輸入と販売」と「放出」に限って禁止にするという動きがあります。一方で飼育については「死ぬまで飼ってください」とする方向です。しかし、カメは長くて40年生きるといわれているため、飼い主の方が早く亡くなってしまうという状況もありえますよね。そこで、やむをえず飼育できなくなった場合は殺処分も許容してもいいのでは、という議論になっているんです。

 

田畑:うわあ…。

 

元村:ただミドリガメには責任がありません。人間が連れてきたものです。殺処分もどういう方法がいいのかという議論が行われるかと思いますが、どうしたらいいでしょう?

 

田中:あんまり考えたくないですね…。

 

元村:参考になるのが、同じ外来生物のカミツキガメです。人に噛みついてしまう害獣のため駆除が進んでおり、殺処分もされています。このときにとられている手段のひとつが冷凍です。カメがいちばん苦しまない方法を考えるのと同時に「原則は死ぬまで責任をもって飼う」という認識を高めるべきです。この法律改正を機に、飼っている人にマナーを呼びかけることも必要だと考えます。

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