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ごみゼロ=自分の豊かさを考えること!?徳島県のゼロウェイストの町

日本で最も美しい村といわれる徳島県上勝町。2003年、日本で初めて「ゼロウェイスト宣言」をした自治体だ。町民全員がごみを45種類に分別することで自然と向き合っている。RKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』では、上勝町の中心部で営むカフェから「ゼロウェイスト」を発信している東輝実さんに話を聞いた。  
田畑竜介アナウンサー(以下、田畑):東さんが営む「カフェ・ポールスター」ではゼロウェイストをどのように実践しているのですか?

 

東輝実さん(以下、東):オープン当初から、町内の作物を積極的に使ったり、お客様に「このカフェはゼロウェイストの行動をしている」と案内したりしています。例えば、焼き菓子やコーヒー豆は量り売りしたり、提供する料理も、新鮮な地元野菜を皮をむかずに使うことで、フードロス削減を実践したり。また、お客様にはご飯を少なめに出して、おかわり自由にし、残さないようにするということを提案させてもらっています。

 

田畑:お客さんの反応は?

 

東:当店はおしぼりを提供していないため、ハンカチやタオルの持参を呼びかけているのですが、最初戸惑われる方もいます。しかし、お客様の多くが「ゼロウェイストな上勝町を体験しに来たい」という方ですので、積極的に参加してくださる方が多いように感じています。

 

田畑:上勝町はごみを45種類に分別することで知られていますが、東さんは小さい頃から実践しているんですか?

 

東:確かに45種類に分別していますが、家では分けるのはせいぜい10種類ぐらい。それを町内の回収拠点に持って行き、そこでさらに細かく分別するという流れです。家では土間にコンテナを2つ置いて、缶・瓶・ペットボトル、トレーを入れるボックス、プラスチックを入れるボックス、燃えるごみを入れるボックス、紙ごみなどに分けます。あまり無理をしてやっているものではありません。ただ、やっぱり分別は面倒なので、買い物をする段階で「こっちのほうがパッケージが少ないな」「洗いやすいな」などと考えています。進学で県外に出たとき、色んなごみを一緒にすることが「気持ち悪い」と感じました。この45種類に分別するという取り組みが、自然とそのような意識にさせてくれたと思います。

 

田畑:ゼロウェイストに取り組んでみてよかったと思うところは何ですか?

 

東:ゼロウェイストを考えることは、自分が費やすお金や労力を考えることにつながります。その結果として、出るごみを「どんなバランスだったら自分が心地よいか」を知れる一つの方法だと思います。「自分にとって豊かさとはなんだろう?」と考えるひとつのきっかけになっています。ゼロウェイストを考えることは自分を考えることにつながるということが、ごみ分別だけではないゼロウェイストの面白さだと思います。

 

田畑:これからの展望はありますか?

 

東:上勝町に古くからある暮らしや文化から学べるゼロウェイスト、というものがあると思っています。カフェを拠点にしつつ、町の暮らしや生活を感じてもらうツアーや、教育拠点にしていきたいです。カフェという場所は上勝町のショールームであり、みんなが集まる拠点です。そこからみんなで、町での遊びや学びに出ていただくというイメージを持っています。

 

田畑:お話を聞いて感じたのは東さんの上勝町への「愛」でした。

 

東:単純にここでの暮らしや、人が織り交ざっていることが好きなんです。そういう人たちと暮らしを共有していきたいです。私には小学生の息子がいますが、私が「ここで育って幸せだった」と思ったように、彼にもその感覚を伝えていきたいと思っています。上勝町が大好きであり、自分の豊かさや幸せをつきつめる部分があるように感じます。このようなゼロウェイストの取り組みは家族や地区など、小さなコミュニティでやる方が継続もしやすいのではないかと思います。

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