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時を超える豊後鏝絵師

大分県大分市のアトリエに、鋭い眼光で黙々と鏝を動かし「鏝絵」(コテエ)制作に励む人物がいる。後藤五郎、71歳。
鏝絵とは、左官職人が壁を塗る鏝を使い、日本古来の壁素材「漆喰」(シックイ)で模様を描いた、江戸時代から続く伝統装飾。大分県内、特に宇佐市安心院町周辺には鏝絵が数多く残されており、縁起の良い絵柄のものが多く、家内安全など様々な願いを込められて作られた。その伝統に、現代ならではの材料や技法を取り入れ、新しいスタイルの現代鏝絵として注目を集めているのが、後藤五郎の豊後鏝絵である。後藤は10代の頃から左官職人として鏝を握ってきたが、42歳の時に軽量飛行機でフライト中に墜落。「奇跡的に助かった命…、生きた証として何か残したい」その思いが、以前から興味のあった鏝絵制作に向かわせた。
作っても、作っても、満足できない日々が続き、歳を重ねるほどに「ものづくりには、終わりがない…」というチャレンジの境地に向かうという。県内の個人宅、有名ホテル、学校等はもとより、東京、名古屋、鎌倉など、全国に彼の作品が増え続けている。そんな後藤は、建物のロビーを鏝絵によって「動きを感じる壁」に仕上げたい…と、71歳にして、更なる夢に挑み続けている。
※豊後鏝絵師 後藤五郎(ごとうごろう)(屋号は「仁五(じんご)」) 71歳
(製作:OBS大分放送 / 吉田 薫)

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