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坂本製油 とこしえに

「とてもいい油がある」と知り合いの料理人が切り出した。菜種を一番搾りした油は混ざり物一切なし、香りが高くキレがあり、その製油所の油に惚れ込んでいるという。
食材を始め、調味料に至るまで使用規準に譲れない物差しがある料理人が言うので、私は製油所を訪ねてみることにした。熊本県益城町の「坂本製油」へ向かう。創業は昭和24年、70年続いている製油所だった。現在は2代目の中上貴裕さん(45)が油を作り続けている。3年前の熊本地震で工場は傷んだが、廃業することなく、この4月に新工場を建設、油作りの志は煌々と燃え続けている。創業からの油作りの理念を聞くと、「子どもたちに」で口火を切り、「お年寄りや妊婦さんたちに体に優しい油を作ること」と続いた。答えてくれたのは、坂本製油2代目の妻・恵さん(42)。結びの「創業からのこの作り方は絶対に変えません」に強い信念が垣間見えた。取材が始まり、新工場で「変えない油作り」を目撃しながら、私=制作者は、「人の体に入る食べ物」には作り手の「変えない信念」が必要だと思うようになった。
私の想いを乗せながら、坂本製油の「変えない頑なさ」の一場面を映し出してゆく。
(製作:RKK熊本放送 / 藤本 周一)

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