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業界の発明王!エンタメ系回転寿司「くら寿司」

2021年の市場規模は、過去最高水準の7400億円!外食産業では数少ない成長市場の回転寿司。その中で、2022年10月末時点で商標登録473件・特許26件を誇る“元祖発明王”が、全国519店舗、年間売り上げ1475億円の“エンタメ系回転寿司”「くら寿司」だ。
様々な仕掛けと戦略で生き残りをかける「くら寿司」の儲けのからくりに迫る!

目からウロコの“ファミリー戦略”!

今では回転寿司の主流になっている“ボックス型”の席は、くら寿司が先駆けて導入した。またボックス席を増やすべく、「E型レーン」と呼ばれる形のレーンも考案。
従来主流だった、中に職人がいて周りを円形に囲う「O型レーン」はカウンター席主体のつくりだが、それに対し、家族や友人などがゆっくり食事を楽しめる空間を目指した。

くら寿司には、コロナ危機においていち早く業績回復の立役者となった発明がある。“抗菌寿司カバー”の「鮮度くん」だ。空気中のウイルスや飛沫から寿司を守ることはもちろん、乾燥を防ぐなどの鮮度維持にも役立っている。鮮度を保つことで、フードロスも6パーセントから3パーセントに改善されたという。

食のテーマパークを目指し、「E型レーン」や「鮮度くん」でファミリー層の取り込みに成功したくら寿司。
その中で、ファミリー層を虜にする最大にして最高の発明品が「皿回収システム」だ。皿を入れるだけでも楽しいが、スタッフの手間も省けて一石二鳥だ。
しかしここからが本題!子どもたちに大人気、皿回収システムと連動する「ビッくらポン」システムも開発した。空き皿5枚を入れるとモニター上でゲームが始まり、当たればオリジナルの景品がもらえる仕組みだ。
その人気は、ビッくらポンをしたいがために“5の倍数食べてしまう”現象をも巻き起こすほど。「あと1皿」を後押しする、巧妙なくら寿司の戦略である。

魅惑のバックヤードに潜入!

人間心理をつく巧妙なアイディアと、大手の強みを生かした資金力で売り上げを伸ばし続けるくら寿司。その儲けの裏側、真骨頂はバックヤードにあった。
全ての席で投入された皿は、「水流式皿回収システム」でバックヤードへ流れ着く。それらを全自動皿洗い機へ移すと、洗い終わった皿が乾燥されて出てくる仕組みだ。人件費削減におおいに役立っている。

次世代に向けた“新たな取り組み”

数々の発明とオートメーション化で人件費を削減し、100円寿司の確固たる地位を確立したくら寿司は、次世代に向けた新たな取り組みに乗り出す。
例えば、漁業者との共存共栄を目指し、定置網でとれた魚を年間契約で全て買い取って活用する「一船買い」。国内の天然魚の仕入れを強化し、1次産業までカバーしている。
さらには漁業権も獲得し、ハマチや鯛の養殖に参入。生産・加工・販売を融合させた6次産業にも乗り出した。

これはひとえに、“税抜き100円寿司”への徹底したこだわりだ。

ところが2022年、食材価格の高騰に円安が拍車をかけ、10月1日からは一部値上げに踏み切った。しかしその一方、大幅な値下げ商品も同時に発売するというくら寿司の底力を見せた。

“発明王”くら寿司の真価

最後に、回転寿司の本質を、マーケティング本部の小坂マネージャーに聞いた。
「社長がよく昔話の“桃太郎”の話をするんです。あれは桃が川を流れてくるから楽しいのであって、もし桃がそこにあるだけだったら楽しくない。そういったワクワク感が回転寿司のレーンには詰まっている。だから商品を流してなんぼなんです」
やっぱり回転寿司は楽しい!

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この記事を書いたひと

軽部明香里

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アナウンサー、ナレーター、タレント、記者、そしてライター。東北で生まれ育ち、東京経由で九州へ。大好きな福岡と東京を拠点に活動中。またの名は、訛りすぎるアナウンサー・酒田倉子。時々出身地の山形弁を話す。<br>所属:<a href="https://litomon.jp" target="_blank" style="text-decoration: underline;">リトルモンスターエンターテインメント</a>