頼もしきパートナー! 運ぶロボット
福岡市の株式会社「匠」は、物流倉庫や製造工場などで製品を運ぶ搬送用ロボットを製造する会社だ。ネット通販などで物流量が増えた昨今、その需要は高まっており、高齢化や人口減少が進む日本ではさらにこれからの成長も期待される分野だ。
搬送用ロボットは現在海外製品が主流だが、匠では「メイドインジャパン」をうたい、ユーザーの用途、要望に合わせたフルカスタマイズ、きめ細やかなサービスを信条としており、それが導入企業にも喜ばれている。省人化が進む工場での切り札的存在だ。
またこのロボット技術を活用して、2020年、オゾン発生器を搭載した自走式のロボットを開発した。これは夜間や休業日など無人の環境下でもオゾンを自走噴霧し、施設の除菌・脱臭などを行うロボット。新型コロナの世ならではの商品だ。開発にあたっては、岡山のオゾン機器メーカーとタッグを組んだ。他業種とのコラボレーションで、斬新な発想の近未来的商品誕生の可能性も見えてきた。
「ヒトとロボットの共存共栄」を目指す匠の技術を紹介する。
取材後記
かの手塚治虫先生の影響でしょうか? ロボット、というと妙な愛着がわきませんか。ワタクシ、家庭用お掃除ロボットの働きをついつい見守ってしまうタイプです。
匠のTiTraGも「賢いなあ」とその動きに目が釘付け。特に印象深かったのが山形県米沢市の三井屋工業東北工場での取材です。ここでは三台のTiTraGが活躍していたのですが、ちょっとした遊び心?で某SFアニメを彷彿とさせるカラーリングを施されていました。いやわかります、その気持ち!と勝手に共感。
しかしながら実戦配備のカスタマイズは当然それだけではなく、複雑な動線も実にきびきびと動き、お仕事を終え、台車を持たない空の状態で定位置に戻る時のスピードなどはかなりの速さ。広い工場の端から端を疾走する初号機、もといTiTraG、カメラを回しながらだと私の足では追いかけきれませんでした。クールな仕事人に袖にされた気分……。
宗像市役所の暗闇を黙々と除菌して回るタクミクリンも、まるで踊っているようなロボ家具も、本当に賢くて、なんだか可愛い。人とロボットが共存する世界。そんなSFみたいな現実がもう来ているんですね。
最先端のロボットを扱いながら、ちょっと古風に社名は「匠」。工芸品を作るように手をかけ心をこめてロボットを作る、そんな心意気を感じました。
(RKB毎日放送 / 里山 千恵美)