PageTopButton

自然の秘密が生んだチカラ!~大分生まれのトンボ発電~

再生可能エネルギー自給率日本一の大分県の大学で今、ある風力発電の研究が進められている。
それが「マイクロ・エコ風車」、ヒントになったのは何と「トンボ」。
「はやぶさ」の開発にも携わった日本文理大学の小幡章教授(74)は、少ない羽ばたきで空中に留まることができるトンボの飛行原理に注目。
秘密が羽の断面の凹凸にあることを解明した。
この構造を利用して微風でも揚力を確保できるのだ。
トンボの羽にヒントを得て、試行錯誤の末に完成したエコ風車。
プラスチック素材に凹凸を刻み込んだ羽は風速50cmの弱い風でも回転し、電力を生み出すことに成功。
台風並みの強風にも耐える成果を上げた。
目標は実用化だ。一般の風車に比べて製作コストも抑えられる上、小型なので身近な生活で活用できる。最近では、関心を寄せる企業も現れた。
クリアしなければならない課題はまだあるが、小幡教授はあきらめず、風力だけでなく水力発電にも応用できないか、これまで以上に研究に打ち込んでいる。
自然の神秘がエネルギー革命につながるか?トンボ発電の実用化に向けた小幡教授の挑戦を追う。

<取材先データ>
日本文理大学
担当者:小幡章教授
大分県大分市一木1727
電話:097-592-1600(代表)
HP:http://www.nbu.ac.jp/ ◆マイクロ・エコ風車は現在販売しておりません。

取材後記

今回、紹介させていただいたマイクロ・エコ風車なのですが、こだわりがすごいです。当然ではありますが、番組内におさまりきらないポイントも多くありました。トンボの羽に焦点を当てていたので、その絡みで一つだけ追記させていただきます。風車の羽をよく見ると、中央部分は凹凸なのですが、外の部分は平たくなっています。これももちろん、効率よく発電するためです。放送で紹介しました通りトンボの凸凹の羽は、低速の風を受けた時に力を発揮し高効率の発電ができます。しかし、ある一定の速度を超えると、風の抵抗を受けないスベスベの羽の方が風車の羽に適するようになるのです。日本の平均風速を考慮し、どこでもうまく回れるように、その2つの羽の特性を組み合わせたベストの形を目指して、いまの凹凸とスベスベを併せ持つ羽になったのです。その形を見つけ出すのに学生の研究テーマで羽ばかり作った年もあり、作った試作は概算で100機にも届くそうです。
 
また、「微風で発電できるので、カメラやセンサーを設置すると、どこでも映像・気象情報を集められる」という特徴を、番組では異常気象の解明に役立つと放送しました。ですが、本命としては科学的な農業での実用を見込んでいます。最先端の農業の現場では気象情報が重要になっており、ベテランの農業従事者の方が感覚としてもっているものを数字でデータ化することが求められているのです。その時に、マイクロ・エコ風車であれば簡単に情報収集ができ、農業の発展にも貢献が期待されるという話を小幡教授といたしました。
 
現在も小幡研究室では日々研究が前進しており、どんどん効率がよくなっています。今回、放送したマイクロ・エコ風車ですが、商品化を考えているAKシステムでは、どの研究段階のものを製品とするか見計らっているようです。もしかすると、商品化されるときには、もっと研究が進んで違った形になっているのかも知れません。ご期待ください。
 
 


 

担当:OBS大分放送  三浦 大和

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう