PageTopButton

“歩く喜び”をもう一度 ~膝関節の痛みから救え~

全国に1,200万人いると言われている「変形性膝関節症」。
日本人の10人に1人はその病気に苦しんでいる。
そんな膝に悩みを抱えている人たちに“歩く喜び”を取り戻してもらおうと開発された装具がある。それが「CBブレース」だ。
作ったのは義足や義肢を制作する職人、佐喜眞保(さきまたもつ)(63歳)だ。

従来型の膝関節装具は連結部分が膝の上下についているが、「CBブレース」は膝の後側にもってくるというアイデアで大きな違いを生み出した。
膝の支柱性は損なわれず、太ももとふくらはぎの筋肉は自由に動かせるという仕組みだ。
これにより、膝をしっかり固定しながら筋肉を動かせることで膝への負担が大幅に減り、歩きやすさが増したのだ。
さらに、形状が従来型と比べシンプルなため、圧倒的な軽量化に成功した。
誰もが考えそうで誰も思いつかなかった画期的な装具…。「CBブレース」は2005年第1回ものづくり日本大賞「経済産業大臣賞」に輝いた。

佐喜眞は今、スポーツ医学の権威、慶応大学の松本秀男教授との共同開発で、「CBブレース」をさらに進化させ、今までにないまったく新しい膝関節装具を創り出そうとしている。その開発現場を視つめる。
<取材先データ>
会社名:株式会社 佐喜眞義肢
担当者:代表取締役 佐喜眞保(さきまたもつ)
住所:沖縄県国頭郡金武町金武10914
電話番号:098-983-2577
HP:http://www.cb-sakima.jp/

取材後記

佐喜眞さんは取材の時、必ず「CBブレース」を我々スタッフにつけて下さいます。そして、つけ心地や歩いた感想を聞いてきます。足腰に自信があり、年に1回、マラソンに挑戦している私でさえも、その“軽さ”や膝が自然に前に出ていく感覚には驚かされました。
「変形性膝関節症」の方なら、なおさら膝が自然に上がり、普通に歩けることに喜びを感じる方が多いのではないかと思います。

膝の後側をたった1本のバーで固定するだけで、従来の装具にはない支持性と軽量化に成功した「CBブレース」はまさに「コロンブスの卵」的大発見だと誰もが認めます。しかし、それはたまたま佐喜眞さんが発明した…ということではありません。たまたまではなく、それを生み出す努力を続けてきた結果だと、僕は取材を進めるうちに考えるようになりました。「人の役に立つこと。それはこの上ない喜びだ」と佐喜眞さんは言います。自らが障がい者であった過去があるからこそ、「人の役に立つ」ことに無情の喜びを感じるのでしょう。そして、その気持ちが純粋であるからこそ、今まで誰も考えなかった大きな発明が生まれたのだろうと素直に思うのです。
 
今、佐喜眞さんはスポーツ医学の権威である大学教授との共同開発で、今までの概念を覆すような、新たな「CBブレース」を生み出そうとしています。その根底にあるのは「人の役に立ちたい」という想い…です。佐喜眞さん、「どうぞ、その“想い”のまま創って下さい」…私たちは応援したい…そんな気持ちで一杯です。
 

担当:RBC琉球放送 藤原廣進

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう

radiko 防災ムービー「いつでも、どこでも、安心を手のひらに。」
radiko 防災ムービー「いつでも、どこでも、安心を手のひらに。」