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鮮度バツグン!とれたてそのまま届けます

多くの離島と、南北600キロに広がる広大な海に囲まれた鹿児島。
文字通り“魚の宝庫”だ。鹿児島の魚は、いまや国内はもとより、海外でも味わえるようになったが、輸送に時間がかかり、鮮度を保つのが難しかった。

その解決策を探ってきたのが、鹿児島大学で魚の鮮度管理などについて研究している木村郁夫特任教授(65)。木村教授が着目したのは、魚自身が持つ「ATP(アデノシン三リン酸)」という成分。魚が成長する上で必要なエネルギー物質で、タンパク質を安定させる働きもあり、魚にこのATPが含まれていれば、長期間冷凍保存しても身の劣化を防ぎ、とれたての鮮度を保てることが分かった。だが、ATPはストレスや温度変化に弱く、漁獲した後、急速に失われてしまう。ATPを残すポイントは、できる限り魚にストレスを与えないように水揚げし、速やかに活け締めして、冷却すること。

木村教授は、離島の漁業者や養殖業者とタッグを組み、魚のATPを残す水揚げの技術を開発。ATPが残った鹿児島の魚は、鮮度の良さだけでなく、長期間冷凍で保存できるとあって、県外の飲食店から高い評価を受けている。木村教授はこの成果を海外でも生かそうと奮闘している。
■取材先
学校名:鹿児島大学
担当者:木村郁夫特任教授
住所:鹿児島市下荒田4-50-20
電話:099-286-4210
HP:https://www.krcc.kagoshima-u.ac.jp/

取材後記

“魚は冷凍すると味が落ちる”…木村教授はこの常識を覆す研究結果を発表しました。正直、私は半信半疑で、この取材を始めました。しかし、鹿児島でとれて1か月間冷凍保存していた魚を実際に食べてみて、ATPの効果に驚かされました。
ATPを活用して魚の鮮度を保つ取り組みが今後さらに広がり、日本の漁業がさらに発展していく後押しになることを願っています。
担当:MBC南日本放送 道山 幸司

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