松尾潔「ビヨンセは生き方でマイノリティに勇気を与える」ラジオで評論
黒人女性歌手として史上最大の成功を収めたビヨンセは、第一線を走り続けるアーティストでありながら、超ド級の実業家でもある。「その生き方でマイノリティに勇気を与え続ける」と絶賛するのは、音楽プロデューサー・松尾潔さんだ。ビヨンセの誕生日にあたる9月4日に出演したRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』で彼女の半生を紹介した。
アーティストで、超ド級の実業家
ビヨンセは1981年の9月4日生まれ。きょうで42歳になりました。今ステージで共演することもある娘のブルー・アイビーを出産したのが2012年1月、ビヨンセが30歳のときでした。
その後、双子の男女を出産しています。その子供たちの父親は言わずと知れたラッパーのJay-Z。「Crazy in Love」という曲で、のちに夫となるJay-Zと共演しています。
ビヨンセは幼いころから見目麗しく、歌やダンスが得意と評判でした。10歳になる前、テキサス州ヒューストンでGirls Tymeというグループを結成、それが発展的に変わったDestiny's Child名義で97年にデビューします。このときまだ高校生ぐらいです。
その後、Destiny's Childが国際的な人気を博してソロ活動も始め、俳優としても精力的な動きを見せていました。今は歌の方に専念しているようですがそれは芸事に限っての話。実はそれ以上に、超ド級の実業家ということでも知られています。アメリカのブラックミュージックシーンで、実業家としても活躍しているのはビヨンセとリアーナが2トップです。
自宅は290億円!
ビヨンセの夫Jay-Zも大富豪です。夫婦は日本の有名な建築家・安藤忠雄さんが設計した家をカリフォルニアに建てて暮らしています。ちょっと下世話な話ですが、この住まいはアメリカ国内でも2番目に高いと言われている2億ドル。今の為替相場だと日本円で大体290億円ぐらいですかね。まるで家を建てること自体が一大事業のような気もしますが。
「Jay-Zはラップの新譜を出していないけど何しているのかな?」って疑問に思っているファンもいると思いますが、しっかり(別の)ビジネスやっているんです。
生き方でマイノリティに勇気を与える
R&Bやヒップホップは、作品をリリースしたりライブ活動をやったりするという音楽活動という範疇を超えて、「生き方を見せていく」というところがとくにヒップホップ以降、顕著になっています。
ビヨンセは厳密にいえばヒップホップとはちょっと違う、R&Bやポップスの世界で活躍していますが、ヒップホップヒストリーに残る大成功者である夫と結婚しているわけで、ヒップホップの文脈で捉えても差し支えないでしょう。
まさにビヨンセは生き方を示しながら、女性(や黒人という)マイノリティと言われている存在にエンパワーメント(自信を与える)していくという存在です。
その生き方に対しての称賛が彼女のスターダム、現在のスターライフっていうことでもあるでしょうし、語弊があるかもしれませんが、ファンにとっては教祖としてのビヨンセ、生き神としてのビヨンセが動くところ見るために、ライブに足を運ぶという側面もあると思います。
R&Bがもともと宗教音楽であるゴスペルから始まっていることを考えると、日曜日に教会に行って、牧師の言葉に触れるという行為の発展的なバリエーションのひとつとしてJay-Zやビヨンセのライブがあると見ることもできます。
そう考えると、極めて現代的でありながら、アメリカにおける黒人文化、黒人音楽を体現しているのがビヨンセ夫妻なんだと思いますね。
黒人女性歌手史上最大の成功を収める
ダイアナ・ロスやアレサ・フランクリンといったクイーンと呼ばれるビッグアーティストには停滞期がありましたが、ビヨンセはスターになって久しく、しかも勢いが止まらないところが、先達を超えています。常に新作が注目されるという好循環を作り出した、初めての人と言えるかもしれませんね。
彼女以前の女性R&Bの大スター、ホイットニー・ヒューストンと比較すると、ビヨンセの人生の堅調ぶりはよくわかると思いますし、それだけセルフラブ、セルフケアに長けてるという存在です。
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