深刻化する介護現場の人手不足。とりわけ夜間は、限られた人数で多くの入居者を見守らなければならず、スタッフの負担は大きい。高齢者にとって転倒は、骨折や寝たきりにつながる重大なリスク。一方で、従来のセンサーは異常が起きてから反応するものが多く、対応の遅れや誤報による不要な訪室が課題となっていた。
「入居者の転倒を防ぎ、現場の負担も減らしたい」― その思いから、介護施設「しょうぶ苑」はITスタートアップとともに、AI見守りシステム「ミモリック」を開発。カメラとAIが入居者の起き上がり動作を検知し、転倒につながる動きを事前に知らせる仕組みだ。
導入後は、転倒件数が大幅に減少。夜間の訪室回数も約70%削減されるなど、大きな成果をあげている。映像で状況を確認できることで、スタッフは落ち着いて的確に判断できるようになり、経験の浅い職員や外国人スタッフも安心して働けるようになったという。
夜勤は「走り回る介護」から「寄り添う介護」へ。生まれた時間と心の余裕は、入居者や家族の安全安心だけでなく、働く人のやりがいや定着にもつながっている。人手不足が続くなか、テクノロジーで「スタッフの負担軽減」と「介護の質」を両立させたイノベーション。
介護の新たな可能性を広げる挑戦に迫る。
<取材先データ>
江津しょうぶ苑
運営:しょうぶ苑(有限会社 九州松栄産業)
担当者:渡邉康一朗さん
住所:熊本市東区画図町所島1039
電話:096-370-3939
ミモリックに関する問い合わせ:096-285-5528
HP:https://shoubuen.com/
取材後記
今回取材するまで、正直なところ、介護の現場についてあまり知らなかった。
まず驚いたのは、夜勤では14~5人の入居者を、たった1人のスタッフが見守っているということ。そして、これまでの夜勤につてい話を聞くと、その大変さにまた驚かされた。
現場のスタッフはみな、口をそろえるように、「こういう風に言っていいのかわからないけど・・・」「言い方が適切でないかもしれないけど・・・」と前置きをしてから、遠慮がちに「ミモリックを導入して、だいぶ楽になった」と話してくれた。いやいや、堂々と、楽になったと言ってもいいんですよ!
楽になることは、決して悪いことではない。楽になったからこそ、出来ることがある。「テクノロジーはあくまで手段、目的は人にしかできない心に寄り添う介護を守ること」そう語るミモリック開発陣の熱い想いに、未来の介護業界に可能性を感じた。
私もそう遠くない未来、介護を必要とする側になるかもしれない。そのとき、介護する側もされる側も笑顔でいられたらと願う。
(RKK熊本放送 / 奥秋俊輔)
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