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食生活の常識を変える? 驚異の“排塩”技術

「おいしい豚骨ラーメンが食べたい」。ある人工透析患者の声だ。
この「おいしい」を実現するために欠かせないものが食品に含まれる、塩分。うま味を引き出す欠かせないものであり、一方では過剰摂取によって腎機能の低下や心筋梗塞など現代の生活習慣病を引き起こす要因でもある。過剰摂取対策としては「減塩食」や「食事制限」が主流だが、それではうま味が損なわれる。

そこで熊本県御船町の医療関係メーカー「トイメディカル」が開発したものが「余剰な塩分を体外に排出する」という画期的なカプセル。
これを飲んで食事を摂るとカプセルの中に入っている海藻由来の天然食物繊維と塩分が体内で結合し便となって排出されるという、世界初の“排塩”製品だ。

現在熊本県内のラーメン店で常設販売されるなどの展開が広がっている。「美味しい食事を楽しむことが健康寿命を延ばす」と言う社長の竹下英徳さん(48)が次に目指すのは、「排塩技術を生かした、塩分吸収をおさえる塩」の開発。その塩を使った加工品や調味料の開発も検討している。

食生活は変えずに塩分摂取量を減らす驚きの“排塩の世界”に迫る。
取材先:トイメディカル株式会社
担当者:代表取締役社長 竹下英徳さん
住所:〒861-3131 熊本県上益城郡御船町豊秋750-1
TEL:096-281-0007
HP:http://www.toymedical.jp

取材後記

畑の先にみえる倉庫のような建物。クマちゃんの看板。一見すると「知育玩具?もしくはおもちゃの病院?」と思わせるが、様々な医療技術・医療器具の開発に挑むベンチャー企業。竹下社長が予てから熊本大学医学部・薬学部と付き合いがあることから寄せられる、医者や患者の悩みに応えるモノづくりに一貫して取り組んできた。

今回取材した、アルギン酸を使った“排塩”サプリもその1つだ。ゼリー状商品の改良。
固めるためのゼラチンや味を左右する糖類など。特殊なものから家庭にあるものまで様々な商品を組み合わせ、温度と時間を図りながら試食を試す。「地味な作業でしょ?」と言いながら黙々と作業を続けていた。

現在挑戦中の「体に吸収されにくい塩」も何年にも渡るトライ&エラーを繰り返しながら挑んでいる。「新たなモノづくりはこんなもの。少しずつでも進めば良し」と竹下社長は笑顔で語るが、当初は、研究費にかかる費用のために倒産に追い込まれそうになったこともあると言う。「それでも何故、新たなモノづくりに挑むのか?」という質問の答えは「皆が笑顔で健康に生きる社会のため」。竹下社長のこの姿勢は大学生らの心に響いているようだ。

今年入社した社員の数名は「ネットでこの会社を見つけ訪問して決めた」という。「私も新たなモノづくりがやりたい!」と目を輝かせる。

次はどんな技術、商品が生まれてくるのか。「体に吸収されにくい塩」の今後と共に目が離せない。

(RKK熊本放送 / 久保田 泰代)

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