PageTopButton

養豚を変える!魔法のメガネ

豚を出荷する際の最適な体重は115kg。しかし大きな豚の体重を1日に数百頭、一頭一頭測定して出荷するのは畜産農家にとって大きな負担だ。そのため、多くの養豚農家は飼育日数と見た目の大きさで体重を推測、出荷時期を判断しているが判断がすべて正しいとは限らない。

そこで宮崎大学工学部の川末紀功仁教授(57)が開発したのが「豚の体重が見えるメガネ」。AⅠ(人工知能)とAR(拡張現実)技術を駆使し、この装置が実現した。このメガネは、一瞬で豚の体重を測定することができる魔法のメガネだ。

この装置は、ヘルメットに装着した3Dカメラで撮影。豚の画像をコンピューターに転送し、体高や胸囲などのデータを基に体重を測定する。測定したデータは装置のメガネの部分に投影される仕組みだ。両手が使え、1人でも作業ができるのは大きなメリット。しかも、装置を利用することで高値がつく出荷時期を見極めることができ、養豚農家の収益向上も期待できる。

現在、ドイツの大手畜産メーカーと共同研究も進めている魔法のメガネに注目する。
取材先:宮崎大学 工学部
住所:宮崎市学園木花台西1丁目1
今回取材したシステムの公式ウェブページ: https://www.miyazaki-u.ac.jp/public-relations/public/folder760/002.html
 

取材後記

「豚の体が大きければ大きいほど畜産農家さんは儲かるのでは?」と取材前の無知な私はそう思っていましたが、これは大きな間違い。
豚の体重を量り最適な時期に出荷するのは、畜産農家さんの収益を左右する大事なことだったんです。

この技術で赤ちゃんの体重を量ることを検討する打ち合わせも取材さえてもらえました。
宮崎大学医学部の金子教授によると、病気の赤ちゃんの体重の増減を把握することはとても重要なこと。
しかし体重を量るために赤ちゃんを動かすことは、赤ちゃんにストレスがかかります。
赤ちゃんを動かすことなく、体重を量ることができれば・・・
新生児の専門医である金子教授は、この技術に期待をこめて「画期的なことになるかもしれない」と話してくれました。(ちなみに服を着ている人間の体重はわからないそうです)

「豚の体重が見えるメガネ」は、宮崎大学工学部の川末教授が畜産が盛んな宮崎県で「地域に根差した研究をしたい」という思いから開発を始めました。
研究が進み製品化され、多くの人々に役立つ日が来ることがとても楽しみです。

(MRT宮崎放送 / 日髙健一)

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう