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守りつなぐ裂田の溝

ビジネス

福岡県那珂川町にある日本最古の用水路「裂(さく)田(た)の溝(うなで)」は、日本書紀にも記され、1600年にわたって農業用水や生活用水として活用されている。それは「単なる用水路」ではなく「地域を結ぶ血管」のような役割を果たしてきた。地元で生まれ育った重松喬次さんは「先祖から受け継いだ用水路を次の世代へ繋いでいく責任がある」と有志で保全会を作り、溝の清掃や環境の改善に取り組んできた。さらに、裂(さく)田(た)の溝(うなで)が培ってきた地域の歴史や文化を継承するため、子供たちに神楽の指導も続けている。今を生きる自分達が1600年以上続く溝の歴史の一端を担っているという意識がこの風景を守る原動力となっているのだ。人々は神に祈り、溝沿いに花を植え、清掃を欠かさない。田植えの時期に水位を上げて水田を潤した溝は、夏には子供たちの遊び場となり、秋には豊かな恵みをもたらす。裂田の溝の澄んだ水の流れは古代から続くこのいとなみを支えてきた。
「日本疎水百選」にも選ばれた昔ながらの美しい用水路「裂田の溝」。この水で育まれた稲の成長や、その周辺で開かれるさまざまな催しを通して「地域の宝」を守っていこうという人たちの思いを伝える。
(製作:RKB毎日放送 / 両角竜太郎)

※2017年12月24日に放送されたものです。

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