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海を変える!磯焼けウニビジネス

地球温暖化による海水温の上昇などが原因で異常繁殖したウニが海藻を食べつくす「磯焼け」という問題が世界各地で発生している。こうした磯焼けウニは身入りが悪く、一般的には駆除の対象になっているが、大分県国東市の「大分うにファーム」ではウニを漁師から買い取り、自社の水槽で育てて、商品にして販売するという取り組みをノルウェーのウニノミクス社と共同で行っている。

栗林正秀社長(40)が目指すのは環境問題の解決と商業化。磯焼けから海を守るとともに、漁業従事者にとって厄介者となっていたウニを価値のある商品に変え、地域の新たな特産品にしたいと考えている。

これまで、藻場を食い荒らす磯焼けウニの食用化は欧米では試験的に行われていたが、大分うにファームでは年間18トンの生産を目指していて、商業規模での取り組みが実現すれば世界初となる。

商業化の実現に向けて今年4月、閉鎖循環型の畜養施設を新設。そして、あるものを使った独自のエサを与えることで、1年を通した安定供給とウニの旨味をひきだすことに成功した。

「磯焼けをおいしく解決!」SDGs時代の企業のロールモデルとなりえる、大分うにファームの挑戦を紹介する。
株式会社大分うにファーム
事業所:大分県国東市武蔵町古市1033番地1
畜養施設:大分県国東市国東町富来浦2774―12
連絡先:0978-68-0102
HP:https://www.oita-uni-farm.co.jp/

取材後記

ウニは英語で「Sea urchin」と言います。
直訳すると「海のいたずらっ子」。海外でウニは漁場を荒らす存在だったため、このような名前が付いたそうです。

大分うにファームの栗林さんはそんないたずらっ子のウニを一匹一匹、大切に育てています。一見、無機質な生き物のウニですが、栗林さんいわく、ちゃんと表情があるそうです。そう言われると、確かにエサをもらうとき、トゲをニョキっと伸ばしてうれしそうにしているようにも見える気がしてきます。

ちゃんと食べているか?
水槽には慣れたか?
エサを取り合ってケンカしていないか?

ウニに話しかけるように水槽を見回る栗林さんの姿は、世話焼きの先生のようにも見えました。中身が少なく、商品価値のなかったウニは大分うにファームで成長し、2か月後には身をパンパンに太らせ、高級食材として飲食店のカウンターに並べられます。
海を荒らすいたずらっ子が更生して、おいしい優等生となって社会へ出ていく。
そんな過程を知って食べると、さらにウニをおいしく感じられると思います。

(OBS大分放送 矢部泰史)

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