PageTopButton

0.03mmから生まれる美の宇宙

ビジネス
白と黒のグラデーションで描かれたち密な絵。近づいてみて驚くのは、この絵が点だけで描かれた点描画だということだ。描いたのは点描画家・大城清太さん、39歳。

大城さんが制作に取り組むのはまだ夜も明けない午前5時ころから。白い紙の上に、0.03mmのペンで迷い無く点が打たれていく。黒一色で打たれる点の集まりは、陰影や凹凸だけでなく、質感までも感じられる一つの絵に姿を変えて行く。点を打つ瞬間、瞬間に全神経を集中するため、無意識のうちに呼吸を止めていることも多く、制作時間は3時間が限界だという。

大城さんの点描画には、この世に存在しない不思議な生き物たちが多く描かれる。モチーフとなっているのは古代琉球の神々や、「黄金言葉」といわれる沖縄の教えを伝える言葉だ。背景にあるのは「命と自然」という一貫したテーマ。実は大城さんの祖母は、集落の祭祀を司る神の人、神人(かみんちゅ)だった。祖母から語り継がれた「目に見えない沖縄の心」を点描によって表現しているのだという。そして、祖母が伝えた言霊が点となって現れると語る。

点の集合が一つの姿を現した時、作品の前に立つ人々は、星雲のように広がる点の宇宙に圧倒される。

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう

radiko 防災ムービー「あなたのスマホを、防災ラジオに。」