理容師の情熱が生んだ 究極の車いす

大分市を拠点に出張・福祉理美容を展開する(有)ビューティフルライフ。社長の田中晃一さん（５３）の実家は祖母の代から続く理容師一家で、自身も１８歳の時から理容一筋。２０００年にビューティフルライフを立ち上げ、トラックがまるごと理美容室になった移動理美容車を導入し、大分県内各地の福祉施設や病院を訪問している。

そんな田中さんが６年の歳月をかけて開発したのが理美容用の多機能車いす。高齢者や障害者など体が不自由な人たちのために、長時間座ったままでも疲れない「人に優しい」車いすを追求した。座った人たちは口々に「気持ちいい」「体が安定する」と言う。その秘密は、リクライニングをしても体がほとんどずれない、全く「新しい機構」にある。

体のずれは座っている人に不快感を与えるだけではなく、ずれた部分が圧迫され、疲労・床ずれにつながる。健常者であれば自分で位置を戻すことが出来るが、下肢に麻痺のある人は、自分で戻すことが出来ない上、ずれたことにすら気付かず体を圧迫し続けることになりかねない。それらを見事に解決した「新しい機構」とは？多機能車いすの開発に至るまでの様々な出会いや秘話を織り交ぜながら一人の理容師の情熱を追う。