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島のまぐろに真心こめて

日本人が大好きなまぐろ。あまり知られていないが、沖縄県は、国内トップクラスの生鮮まぐろの水揚げを誇る「まぐろ王国」。しかし、その水揚げ量の多さゆえに、流通インフラの脆弱な離島地域では、消費しきれないまぐろを泣く泣く廃棄せざるを得ない現実がある。このような状況を打開するべく、石垣島八重山漁協の有志が立ち上がり、競りで値段がつかなかったまぐろを買い取って、ツナフレークに加工する事業を始めた。

石垣島特製の、その名も「石垣島の本当にまじめなツナフレークス」は、お刺身でもおいしい新鮮な生鮮まぐろを、機械を使わずに、一つ一つ手作業で加工する。

沖縄ではいわゆるツナ缶はどこの家庭にも必ず常備されているほどの県民食で、八重山漁協のツナフレークは石垣島以外にはほとんど出回らないが、そのおいしさゆえに島内での人気も徐々に広がっている。

八重山漁協では、レトルトパック商品の開発や、海外のデザイナーにパッケージデザインを依頼するなど、ツナフレークの商品価値をさら高めるための努力を続けているが、その根本にあるのは、まぐろの価格を安定させることで、衰退しつつある島の漁業を守り育てていきたいという漁業関係者の思いだった。
八重山漁業協同組合
住所 〒907-0014 沖縄県石垣市新栄町83番地
TEL 0980-82-3268
株式会社 石垣の塩
住所 〒907-0024 沖縄県石垣市新川1145-57
TEL 0120-500-714
その他の情報 http://www.ishigakinoshio.com

取材後記

沖縄のまぐろは、本当に美味しいんですよ。しかも安い。でも、「安い」という部分には喜んでばかりはいられない事情があります。大都市圏への輸送コストがかさむ沖縄では、本マグロなど一部の高級マグロ以外は、なかなか県外へ送れません。小さな離島になるとその傾向は顕著で、消費は島内がメイン。すると当然「豊漁⇒売れ残り」の構図となってしまうため、ある絶海の孤島では、漁師が売っていいまぐろを1日3本までと限定しているほどです。

今回の放送では、このようにして売れ残ってしまったまぐろの有効利用を模索する石垣島・八重山漁協の奮闘ぶりを紹介しました。

沖縄には、世界に誇れる資源環境や文化、おいしいものが盛りだくさんですが、ネックになるのは、島の人々の暮らしをどう支えるかという問題。島おこし、地域おこしというテーマは、どこの県にも共通する課題だと思いますが、その解決策は、もともとその場所にあるものを、いかに無駄なく、そして価値の高いものへと変えていけるかという挑戦にあると感じた今回の取材でした。

担当 RBC 琉球放送 田村 健介

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