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蟹で島を守れ!


沖縄本島から南西へ300キロ。宮古島から日本一長い無料の大橋を渡ると、小さな伊良部島へ到着する。この島で生まれ育った吉浜崇浩さん(39)は、昔からみんなに愛されてきたマングローブ蟹を保護しながら自身が経営する「蟹蔵」で蟹の陸上養殖をしている。

高校卒業後、一度は島を離れた彼が帰郷した時、蟹の美味しさと島の自然の美しさに改めて目覚めた。『この蟹は世界一旨いじゃないか!』『見慣れた島の自然はなんて美しいんだ』と。けれど島の発展とともに変わりゆく海や入江。昔から見慣れた自然はどんどん変化していた。守っていく方法は“世界一旨い”と実感したマングローブ蟹!この蟹が世間に広まればきっとこの島の自然も注目される。それが環境を守ることにつながっていく…。空港勤務をしていた吉浜さんは勤めながら独自に蟹の研究を続け15年。ついに蟹の陸上養殖「蟹蔵」をオープン。販売だけでなく、蟹が生息するマングローブ林の体験ツアーや蟹のフルコースなどを開始。妻や6人の小さな子どもたちの力も借りながら島の自然保護を続けている。

蟹の専門分野を学んだことのない吉浜さんだが、大事にしているのは“蟹目線”。蟹の気持ちで島を見つめる視線は熱い!

取材先
会社名:蟹蔵(かにぞう)
住所:宮古島市伊良部字佐和田
電話:0980-78-4734

※見学は行なっていません。ツアーのみ。
『マングローブ林の蟹漁ツアー(蟹コース付き)ひとり 8千円』

取材後記

「困ってるだろ!!」取材中、音声マンのN氏がプチキレた。ディレクターの私に。
理由は蟹蔵の代表・吉浜崇浩さんに蟹養殖の仕方をしつこくインタビューしていたからだ。吉浜さんは15年間マングローブ蟹の生態を研究し、技術を確立しようとしている。だがそれはテクノロジーを駆使した方法ではなく、彼の言葉を借りると『子育てするようにひとりひとりにあった超アナログな飼育法』だという。それでもディレクター魂!?で根掘り葉掘り聞く私に困惑した吉浜さんをみて、N氏が間に入ったのだ。

吉浜さんは男も惚れる男なのだろう。取材から離れた時、吉浜さんを囲んで男性陣は少年のようにカニやサバニ(漁船)、釣り!?の話に夢中になっていた。私は6人の子育てをしながらお客さんにマングローブ蟹のフルコースを一生懸命に用意する吉浜さんの妻・朝子さんファンだ。取材の帰りには吉浜さんの子どもたちが私たちに“ピコ太郎”まで披露してくれ、みんなでお腹を抱えて笑った。蟹蔵の活動、蟹の美味しさも魅力だが、吉浜ファミリーも奥が深い。

担当:琉球放送 大嶺 明子

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