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硫黄島の線香花火

薩摩半島からフェリーでおよそ4時間。 人口わずか128人の三島村硫黄島。 ライフラインは鹿児島市とつなぐ週4便のフェリー。 島には看護師と駐在員が一人ずつ。 スーパーもなければ信号もない、典型的な過疎の村だ。 そんな村に4年前、元国立極地研究所研究員で南極観測隊隊員の大岩根尚さん(35)がジオパーク専門職員として赴任した。 

2015年、村を日本ジオパークに登録、大自然を活用し島の活性化を目指した。 先ずは硫黄島の硫黄を使った線香花火を製作。 噴煙上がる硫黄岳に自ら登り天然の硫黄石を採取、専門家に成分分析を依頼し更に蒸留、炭と硝石と配合し黒色火薬を作った。 硫黄島の線香花火は主流の中国産に比べ、長持ちして火花が大きく飛び散る。ワークショップでは硫黄島の火山の歴史に触れながら線香花火を紹介すると、感動が生まれた。

火山の島の成り立ちを伝え、硫黄を採取、そして原料から手で作る。
それは儚くも美しい硫黄島物語の線香花火となった。
取材先
会社名:合同会社むすひ
担当者:大岩根 尚
住所:鹿児島県三島村硫黄島39

取材後記

東京大学大学院で博士号を取得し、極地研究所の研究員を経て、南極観測隊隊員に、その後鹿児島一小さな自治体、三島村の職員になって、この度硫黄島に移住を決めた大岩根尚さん。地球をぐるりと回って、たどり着いた場所が硫黄島だったというわけです。

彼に連れられ硫黄島に行くと、毎回、自然がもたらす様々な体験をさせてもらうことができます。噴煙の上がる硫黄岳の火口まで行き、足がすくんだあとは強酸性の温泉に浸かり体がひりひりし、深夜には月明かりもない真っ暗闇の道を仲間と歩き本音で語ってみる。これこそが大岩根さんが地球との遊びと表現する硫黄島ツアーです。

その中に硫黄島の硫黄を採取する線香花火作りも含まれます。量販店から買ってくれば面倒な手間も省けて、ただ花火だけを楽しむことが出来ることは確かです。でも一通り島を体感しその恵みで線香花火作るという過程には他所では味わえない感動があります。面倒くさそうだなと思ってしまうような人でも、実際行って体験してみると、楽しめるものです。

担当:MBC南日本放送 成田 広樹

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