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ぐんぐん伸びる!竹の可能性

鹿児島県は竹林面積が日本一。山の幸として親しまれている早掘りタケノコ、「竹カゴ」といった工芸品など、あり余る竹は、ある程度は生かされている。一方、高齢化により放棄された竹林が増加。竹が他の植物の生育を阻害する“竹害”が山間部の住民を悩ませている。

そんなやっかいものの竹を世界が注目する“新素材”へ変えようという試みが始まっている。薩摩川内市は市内に工場のある中越パルプ工業と協力し、竹を使った“セルロースナノファイバー(CNF)”の活用に乗り出している。

セルロースナノファイバーとは、紙の原料であるパルプをナノサイズまで細かく解きほぐして作る繊維素材。鋼鉄の5分の1の軽さながら5倍の強度を持ち、将来は自動車のボディなどへの利用が期待されている。また、変幻自在の性質を持っており様々な分野への応用が今後期待されている。

20年前から竹の有効活用を模索していた薩摩川内市は、中越パルプ工業と共に農家から竹を買い取る仕組みづくりを行い、日本で唯一の竹で作る紙=「竹紙」の製造販売につなげた実績がある。
竹から生まれる新素材。山のやっかいものを資源へと変え、地域活性化につなげようとする薩摩川内市の挑戦を追う。
取材先
会社名:薩摩川内市役所 次世代エネルギー課
担当者:久保信治対策監
住所:鹿児島県薩摩川内市神田町3番22号
電話:0996-23-5111

取材後記

鹿児島では車を運転していると道路端に管理の行き届いていない竹林を見る機会がよくあります。そんな竹をなんとかしたいと10年以上前から薩摩川内市と中越パルプ工業が協力して始めた「竹紙」製造。その規模は小さく、利益も少ないものでしたが、継続してきたことが今回のセルロースナノファイバーに繋がったというのが興味深いです。

取材を通して薩摩川内市の方々のセルロースナノファイバーへの期待感が伝わってきました。まだまだ生産量は少なく、コストは高いという課題はありますが、10年後20年後にはセルロースナノファイバーが当たり前の素材になることでしょう。

担当:MBC南日本放送 池田佳史郎

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