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宝の森と生きていく “やんばる”の木工職人

村の面積の約8割を亜熱帯の森が占める沖縄本島北部の国頭村。
天然記念物であるノグチゲラやヤンバルクイナ、ヤンバルテナガコガネなど“世界でもここだけ”の貴重な生き物が多く生息している。この命を守り育む森は、人々の生活にも豊かさをもたらしてきたが、ここでも地場の木材は安い輸入木材の流入により価格競争に押され、活用は停滞ぎみだ。そこに現れたのが、木工職人の野田洋さん43歳。先人たちが守り育ててきた森の木々を活用して食器を作り続けている。

2年前、唯一無二のモノづくりに興味を持ち、企業勤めを辞め木工の道に飛び込み、この地に自然と引き寄せられるように静岡から移住した。そんな野田さんを魅了したのが、ダイナミックで独特の美しさを持つ沖縄県木“リュウキュウマツ”。味わい豊かな木目が特徴で強度が高いことが強みだ。木もそれぞれ一長一短。同じ種類の木でも決して同じ表情にはならない。

そんな個性が野田さんの創作意欲を掻き立てる。ほんの少しの遊び心を取り入れて、木の持つ魅力を最大限に生かす。だから木工はおもしろい!沖縄の森でしか生み出せないモノを現代の暮らしに溶け込むカタチに変え発信する。
■取材先
会社名:洋屋
担当者:野田洋
住所:沖縄県国頭村辺土名189-1
電話/FAX:0980-43-0209
e-mail:yanbaru.n15@gmail.com

取材後記

海のイメージが強い沖縄、実は県全体の面積の約半分を森林が占めています。 沖縄本島北部に広がる「やんばるの森」は、古くから木材の一大産地として、私たちの生活を支えてきましたが、戦後の復興期には多くの木が伐採されて一時は荒廃に。

しかし、人々の懸命な努力と森の再生力により、今の豊かな姿になりました。一歩足を踏み入れると「いらっしゃい」と優しく包み込んでくれるように感じます。 また、やんばるの森は、モコモコしていることから“ブロッコリーの森”とも言われているんだとか。なんだか美味しそうですよね。 その豊かな森の恵みをいっぱいに感じながら暮らす人々は、素敵です!リュウキュウマツの良さを伝えたいという思いを秘めた野田さん。その姿は、木々の香りのように清々しさを感じました。 また、野田さんはよく「木工は、おもしろい」と口にしていました。それは、木への愛情があるからこそ細かいところまでおざなりせず、木と新鮮な気持ちで向き合っている中から出てきた言葉だと私は思います。そして、姿や形を変えても木は私たちと共に生き続けていることにも気づかされました。

今、次のアイデアを考えているという野田さん。沖縄の木の可能性をどのように発信していくのか、野田さんのこれからが楽しみです。
担当:RBC琉球放送 金城有佳

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