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跳べ八天狗~限界集落の挑戦~

熊本県下益城郡山都町にある水増集落。人口15人、平均年齢75歳の限界集落だ。一見、普通の中山間地域だが、この集落には約8000枚ものソーラーパネルが並んでいる。県内の民間企業と協力し,5年前からメガソーラー事業を展開しているのだ。この事業は国からも評価を受け、農林水産白書にも掲載された。

水増にはメガソーラーの借地料500万円と年間の売電収入の5パーセントが毎年収入として入ってくる。住民たちはその収入を元手に、地域の特産大豆“八天狗”の増産を始めた。これは農林水産省のデータベースにも記載がない幻の在来種であり、水増で昔から栽培されてきた大豆だ。

八天狗の生産を拡大し、地域に産業が生まれれば水増にも次世代を担う住民が増えるかもしれない。集落の代表、荒木和久さん(72)を中心に、住民たちは様々な取組みを始めた。県外から大学生を招いて農業体験会を行って、八天狗を使った加工品の商品開発を進めている。住民たちは八天狗を使った豆腐を全国豆腐品評会に出品。その結果は…。

荒木さんは先祖から受け継いできた集落を守りたいと語る。メガソーラーと幻の大豆、二つを武器に地域再生を目指す水増の取組みを、世界に誇る挑戦として紹介する。
■取材先
会社名:水増(みずまさり)集落
担当者:荒木和久(水増集落代表)
住所:熊本県上益城郡山都町島木
HP:http://8tengu.jp/ その他:番組で紹介する、「八天狗(大豆)」を使用した商品の販売に関しては、随時ホームページにてお知らせがあります。(不定期)

取材後記

今回取材した水増集落は、人口15人・平均年齢75歳の限界集落だ。このままでは集落の消滅は避けられない。日本の中山間地域には同じような状況の集落がたくさんあり、そこに暮らす多くの人々が「このままではいけない」と思っているだろう。

水増集落の取組みは、そんな日本中の限界集落に一縷の望みを与えるかもしれない。休耕地にメガソーラーを誘致し、その売電収入で事業(集落の特産大豆の栽培)を始めた。住民たちが一致団結して“稼げる集落”“子どもや孫が帰ってくる集落”を目指している。

事業が成功する保証は無く、売電収入が今後も安定して入るかも分からない。ただ大切なのは何かアクションを起こすことではないだろうか。座して消滅を待つよりも、一か八かアクションを起こすことで地域再生の可能性が生まれる。私は水増集落がそれを体現しているように思う。

先祖代々受け継いできた集落を守りたいという強い気持ちが、住民たちの原動力だ。その気持ちに感銘を受け、水増集落の挑戦を“熊本が世界に誇る取組み”として紹介した。
担当:RKK熊本放送 妹尾勇気

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