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日本刀をヨーロッパへ

ヨーロッパの富裕層の間で日本刀がブームになっている。ドイツで開かれた日本刀の展示会には日本刀のコレクターが150人集まった。彼らが注目するのは、宮崎県日向市在住の刀匠の作品。松葉一路60歳、刀匠名は松葉國正。

松葉氏は無鑑査という刀匠の最高位を授与され、刀剣界では誰もが知る存在だ。20年前、ヨーロッパの男性から刀作の依頼を受けて以降、年に数回1人でヨーロッパを訪ね、日本刀と日本文化のすばらしさを伝えてきた。日本刀が人を引き付けるのは、1000年に渡る刀作りの技術、鉄を美しい芸術作品に変えてしまう技術、知れば知るほど人々は魅了されるという。この20年間で松葉氏がヨーロッパへ納めた刀は約200振り。

今回取材した展示会は、ヨーロッパでの活動20周年を記念して開催されたもの。そこで松葉氏は「マイスター松葉(松葉先生)」と呼ばれ握手を求められる。そして宮崎県日向市にある鍛刀場には世界各地から見学者が訪れる。松葉氏は20代前半の2年間、アメリカで生活したことがあり英会話は堪能。欧米の芸術文化にも造詣が深い。お互いの文化を尊敬し、お互いに行き交うことが真の国際交流であると語る刀匠の活動を追う。
■取材先
仕事場:松葉鍛刀場
担当者:松葉一路(60) 刀匠名 松葉國正
住所:宮崎健日向市平岩8987-1
電話:0982-57-2529
その他:?松葉さんの日本刀は全て注文者からの依頼を受けて製作。
一振り180万円ほどが目安。
松葉さんが1年間に作ることができる日本刀は約20振り。
依頼を受けてから完成するまでは数カ月かかるとのことです。
著書:「日本刀が斬れる理由 美しい理由」BABジャパン

取材後記

今回ドイツで開催された松葉さんの展示会に同行させて頂きましたが私の想像以上にヨーロッパの日本刀愛好家の造詣の深さに感嘆しました。
日本刀をきっかけに日本文化に興味を持ち茶道や盆栽を始めたという方も多くいました。
もちろんみなさん親日家であることは言うまでもありません。

一方松葉さんもヨーロッパの歴史や文化に詳しくお互いの文化を尊敬しあいながらの関係性を重視しています。
松葉さんが日本とヨーロッパの架け橋の一つになっていることを体感しました。
今は無鑑査の刀匠として弟子も抱えていますが、刀の世界に入ってから20年ほどは経済的に大変で自分の選択に迷いが出ていた時代もあったと言います。
肝に銘じていた格言は宮本武蔵が遺した「我、事において後悔せず」の言葉。

松葉さんの優しい目の奥に光る力強さは苦しい時代を乗り越えてきた強さだと個人的に感じた次第です。
「この20年間はすごく楽しかった!」と言い切る刀匠。
「これからも楽しいに違いない!」とワクワク感100%の60歳。
個人的に刺激的な仕事となりました。
担当:MRT宮崎放送 御手洗英明

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