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ミリ単位に挑む!茶摘みロボット

和食の世界遺産入りとともに、世界でも注目の集まる「日本茶」。鹿児島県は静岡県に次いで第2位のお茶どころだが、ご多分に漏れず高齢化と担い手不足が進む。そんな県内のお茶農家を助けたいと立ち上がったのが深水裕信さん52才。実家もお茶農家、幼い頃からお茶に囲まれて育った。

鹿児島県南九州市は、市町村単位で日本一のお茶生産量をほこっている。
農業開発総合センターでお茶栽培に関する研究を行っている深水さんは、地元で長年乗用茶園機械を製造している町工場と、地元センサー会社の異業種3者で「ロボット茶摘み機」の開発に取り組んだ。

近年スマート農業の実用化に向けた研究が加速しているが、自動運転トラクターなどは現状まだ誤差の大きいGPSなどの衛星測位を利用しておりコストも高い。繊細なミリ単位の精度が要求されるお茶摘み、深水さん達は低コストのジャイロとセンサーを組み合わせた独自のロボット開発を行ってきた。
試行錯誤を繰り返し、国の安全基準をクリアしながら大手農機メーカーがまだなし遂げていない「ロボット茶摘み機」市販モデルの開発が今、大詰めを迎えている。

普及が進めば労働力不足の解消だけでなく、農作業事故の防止、昼夜天候を問わない作業効率の向上が期待される。 「地元による地元のためのお茶摘みロボット開発」農家と共に歩み、お茶作りのイノベーションをめざす開発者たちを追う。
■取材先
会社名:鹿児島県農業開発総合センター 茶業部 栽培研究室
担当者:深水裕信 室長
住所:〒897-0303 鹿児島県南九州市知覧町永里3964
電話:0993-83-2811

会社名:松元機工株式会社
担当者:松元雄二 社長
住所:〒891-0702 鹿児島県南九州市頴娃町牧之内9325
電話:0993-36-1161
HP:http://www.matsumotokiko.co.jp
会社名:日本計器鹿児島製作所
担当者:吉田 学 社長
住所:〒897-0302 鹿児島県南九州市知覧町郡5159-1
電話:0993-83-2663
HP:http://www.nkworks.co.jp

取材後記

初めて三者の会議を撮影した時、喧嘩腰の熱い議論に驚かされました。
遠慮なしのぶつかり合い、お茶農家の問題解決への熱い思いとプロフェッショナルのプライド。このプロジェクトの成功の一端を肌で感じた瞬間でした。60年以上農家と共に歩みながら、地道に技術力を高めてきた松元機工、使う側の目線に立ち低コストで信頼性のあるソフト、センサーを開発した日本計器。そしてたゆまぬ情熱でプロジェクトを推進した県茶業部。

地域に暮らし、地域と共にお茶の未来を必死に考えたからこそ、大手メーカをしのぐ製品開発に結びついたのだと思います。

実は、ロボット茶摘み機実用化第一号の納品シーンが番組のゴールの予定でしたが、日々修正を加え機体を改良するうちに、納期が大幅に遅れそのシーンは今回の番組には間に合いませんでした。妥協を許さないその姿勢にモノづくりの原点を感じます。
日々進化していく「お茶ロボット」の今後をこれからも追い続けたいと思います。
担当:MBC南日本放送 伊地知宏和 水野俊彦

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