アートのチカラでやんばるを守る！

世界自然遺産の候補地「やんばるの森」を守ろうと奮闘中の画家がいる。
0,03ミリという小さな点で絵を描く点描画家の大城清太さん（47）だ。絵の道具は全て自然から頂いた物なのに、自分は何も自然に還していないと気づいたのが始まり。循環型の社会を目指す「アースツリープロジェクト」を立ち上げ、地元の国頭村や企業とコラボ商品を開発。その資金で2018年に植樹イベントを開催した。

現在は一人でも多くの人に自然の素晴らしさを伝えようと地元のホテルと共同企画が進行中。さまざまなアーティストに「やんばるの自然」をテーマに新作を製作してもらい、月替わりで展示を行うという。大城さんもヤンバルクイナの絵を描き下ろした。また、地元の中学校でも地域の自然の素晴らしさを知ってもらうために美術の特別授業を担当。全校生徒で作品製作に挑む。

大城さんの情熱で大きく変わった子どもたちの意識とは？また今回は、大城さんが専門家の案内で夜のやんばるの森を初体験。生き物たちの命のドラマをまのあたりにして、改めて感じた「循環」の大切さとは？

画家の大城清太さんから「アースツリープロジェクト」の構想を初めて聞いたのは2017年。自身の画集を出版しようと準備中に「自分は材料の紙を使ってばかりだ」と気付いたという。自然の恵みを使ったら少しずつでも還していく。思い立った後の清太さんの行動は早かった。自宅のある糸満市（沖縄本島最南端の市）から本島最北端の国頭村まで通いつめ、自治体の協力を得て植樹イベントを開催したり、自然への関心を高めるために企業とコラボ商品を開発したり、次々とアイディアを実行していく。

「アートのチカラで自然を守る」と言ってもどれ程の『結果』を出すことができるのか？私は正直最初は半信半疑だった。 しかし、彼の情熱が地元の人たちを少しずつ動かし、ついに地元中学校のカリキュラムを作ってしまったことには驚いた。地道に活動を続けることの大切さや、地域を作っているのは「人の気持ち」なんだと改めて実感。

今回、やんばるの夜の登山道を撮影した際に人工的なゴミが一つも落ちていなかったことも感動した。世界自然遺産に登録された後もずっとこの森が汚染されることなく守られて欲しいと心から願っている。