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世界で闘う!胸のマーク

NPB日本プロ野球の12球団中、9チームのユニホーム製造を手がけている熊本市の「マークス」。

元々は“4畳半の刺繍工場”からスタートした会社が躍進したきっかけは、球団ロゴなどの帽子に施す刺繍だ。帽子の球面になっている部分に刺繍を施すのは難しく、以前は縫い合わせる前の布地に刺繍を入れてから成形していたため手間がかかっていた。そこで創業者で社長の田中博さん(74)は、完成した帽子に“直接刺繍”できるようにミシンを改造。

機械化と量産化に成功したことが大手スポーツメーカーの目に留まった。さらに“選手の動きを想定して”デザインされた前開きボタンのユニホームなどの技術力も評判となり、世界一になった“侍ジャパン”や女子ソフトボール日本代表をはじめ、サッカーやバスケットなど、現在はプロアマ問わずたくさんのユニホーム制作依頼が舞い込む。

そんなマークスが今注力するのは、創業時から培ってきたデザインのノウハウを全て詰め込んだ、ソフトウエアの開発。企業や学校のクラブなどからの多岐にわたるオーダーは、“イメージ”で注文を受けることも多く、事前に完成形のものを可視化して共有するためのものだ。
挑戦を続ける“熊本の町工場”を追った。
会社名:マークス
担当者:田中博社長
住所: 熊本県熊本市北区貢町780-12
電話:096-245-2000
メール:info@marks.co.jp
HP:http://www.marks.co.jp/

取材後記

『まさにスーパーマン』。
田中博社長はどんな人物かを尋ねたところ、30年間共に働く社員から出てきた言葉だ。
その通り、田中社長は自ら何でもこなす。ユニホームのデザインから刺しゅう、ソフトウエアの開発、さらには会社そのもののデザインまで。
20歳から74歳になる今まで、54年もの間、第一線で走り続けている。

私たちは問題や課題が見つかったとき、ついつい解決策を頭でっかちになって考えてしまいがちだ。しかし田中社長は、日常の中からヒントを得る。いつも行くスーパー、
散歩コース、目の前の机。社長の“ひらめき”が今のマークスの技術力を作っている。飛躍のきっかけとなった「帽子に刺しゅうする機械」もその一つ。

なぜそんなに普段の生活から気付けるのか、尋ねてみた。すると、「解決しようと思って、座って考えていてもできないもの」と。確かに私たちも、「面白い番組を作ろう」と頭で考えるだけではできないか。田中社長からは学ぶことばかりだった。

あのイチローさんから個人的に「マリナーズのユニホームを作って欲しい」と頼まれたマークス。なかなか事例がないことで戸惑っていると、直々に「責任は全部僕がとります」と言われたそうだ。
今後はソフトウエアを世界に売り込むと同時に、大きな世界大会でのユニホームを製作予定。試合を見るときは、その胸ロゴにも注目して欲しい。

(RKK熊本放送 / 吉村由紀子)

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