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安全を架ける!階段に願いをこめて

ビジネス
福岡県筑前町の金属加工メーカー和新工業は、主にオーダーメイドの階段の設計、製造を手掛ける会社だ。これまで高速道路やダムなどの点検用階段を多く手掛けてきたが、特に近年需要が増えているのが津波避難用の階段だ。

この分野では国内トップシェアを誇る。自然の地形にかけられる階段には、ひとつとして同じ設計はない。地形はもとより、地盤、土質など多種多様な現場でオーダーメイドの階段を手掛け、ノウハウを積み上げてきた。避難用階段では、さらに効率的な避難路の確保のための設計と、高齢者やこどもでも安全に登れる構造であることなど、点検用階段より多くのハードルがある。それを地形の綿密な構造解析と、高い設計技術、溶接技術、加工技術で可能にしている。

そんな階段製作の転機となったのは、2011年の東日本大震災だった。「どんな地形にも階段を設置する」という技術、「安心を届けたい」という情熱で様々な現場に挑む和新工業を紹介する。
■取材先
会社名:和新工業
住所:福岡県筑前町山隈1279-1
電話:0946-23-0711

取材後記

太平洋側ではない福岡では、津波への危機感が薄いのは否めません。今回、津波避難用階段が設置されている宮崎の保育園、大分の小学校を取材させていただき、意識の違いに改めて気づかされました。子供たちが口にした呪文のような「おはしも」――押さない、走らない、喋らない、戻らない。……知らなかった。勉強になりました。過去の津波の歴史を踏まえた教育も、とても手厚い印象を受けました。

そんな地域に設置された津波避難用階段。被害が想定されている、大切なふるさと。離れたくない。住み続けたい。そんな思いに少しでも安心を提供したい、そう話す和新工業の皆さん。最近では、より日常の暮らしに違和感なく存在するように、景観に配慮した津波避難用階段も作られていると言います。

本当に、いざという時には土地の皆さんを助けてほしい、と心から願うと同時に、日ごろ「キツい~」と階段を敬遠がちな、尻の重い自分を深く反省です。

担当:RKB毎日放送 里山 千恵美

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