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乗客倍増!でも“未開通区間”は?日本一短い新幹線は開業1年で「80点」の歩み~西九州新幹線

佐賀県と長崎駅を結ぶ西九州新幹線が開業してから23日で1年。開業効果もあり特急時代と比べ乗客は倍増、地域経済にも恩恵をもたらしています。一方でさまざまな課題も浮き彫りになっています。全線開通すれば博多~長崎が新幹線でつながるものの、途中の佐賀県の一部区間は未開通のままです。1000億円を超える費用負担に難色を示す佐賀県とJR九州などとの協議は平行線をたどり、現在は在来線の特急と新幹線を乗り換える「リレー方式」がとられています。これを不便だと感じている市民も少なくない中、料金面で競争力のある高速バスの利用者が伸びています。

乗客は220万人で特急時代の約2倍に急増した


去年9月23日に開業した西九州新幹線。佐賀県の武雄温泉駅から長崎駅までの約66キロを結ぶ「日本一短い新幹線」です。
 

JR九州・古宮洋二社長(9月4日)「大きなトラブルもなかったということで80点かな。そういう面では合格点だと思います」
 

先月22日までの11か月間の乗客数は約220万人で、特急列車時代と比較すると2倍近くに、新型コロナ前の2018年度と比べても102%となっています。地域経済に詳しい富山国際大学の大谷友男准教授は、ほかの新幹線の乗客がコロナ前の8割ほどしか戻っていないことを考えると“開業効果”が十分出ていると分析しています。


富山国際大学・大谷友男准教授「たとえば九州新幹線は博多~熊本だと85%ですし、北陸とか東北とかもよくて80~90なので、差分の10~20%が西九州新幹線の開業効果かなと思います」

沿線の温泉街は“活況”「スタッフが足りない」


西九州新幹線の開業によって約90年ぶりに鉄道の駅が復活した嬉野市。日本三大美肌の湯のひとつ、嬉野温泉も新幹線の開業で大いにわきました。創業98年の老舗旅館では、この1年間の宿泊者数がコロナ前と比べて3割以上増加。週末はほぼ満室となるなど人手が足りなくなるほどの盛況ぶりです。


大正屋・山口剛副社長「ゴールデンウィーク明けにコロナの分類が下がってから、一気に予約が増えました。旅館によっては人が足りないので、予約を8割くらいで売り止めしているところもあります」


西九州新幹線の利用をさらに後押ししようと、嬉野市は1億2000万円の予算をかけて旅行支援キャンペーンを展開。西九州新幹線に乗って嬉野市を訪れ、対象施設に宿泊した人に福岡県からは5000円、近畿地方より東からは3万円の交通費を助成します。先月30日に受付を開始したところ即日完売する人気ぶりです。


大正屋・山口副社長「支援がなくなった後が正念場になってくると思います」

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この記事を書いたひと

町田有平

2010年RKB入社。報道記者、情報番組ディレクター、ラジオプロデューサーなどを担当。2女の父で趣味はキャンプと筋トレ。