田畑竜介Grooooow Up

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“天才歌手”天童よしみの歌声は聞き手との間に「物語」を作り出す

“天才歌手”天童よしみの歌声は聞き手との間に「物語」を作り出す

今年デビュー50周年を迎えた、天童よしみ。音楽プロデューサー・松尾潔さんは出演したRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』で「彼女の歌声は、聞き手との間に『物語』を作り出す」とその魅力を語った。

 

天才少女時代のライバルは上沼恵美子

9月26日は天童よしみさんの誕生日。68歳になられました。テレビアニメ『いなかっぺ大将』の「大ちゃん数え唄」を歌ったときの天童よしみさんは、当時「吉田よしみ」という名前でした。まだ高校1年生でした。それぐらいの頃から、天才少女歌手として“コンテスト荒らし”だったんです。生まれは和歌山ですが、育ったのは大阪の八尾。関西圏のあちこちののど自慢大会でいつも優勝していたそうです。そして、彼女と競って準優勝だったのが上沼恵美子さんだったという話もあります。

 

上沼さんは、「いつもよしみちゃんに優勝されて」って今でも言っています。だけどあのお喋りがあったから、海原千里・万里としてスターダムを駆け登り、歌の方でも「大阪ラプソディ」という大ヒットを飛ばしました。すごい2人が子供のときガチンコで勝負してたって話なんです。

「珍島物語」はオリコン最高位35位で130万枚

天童よしみという芸名でデビューして、今年で50年になります。先週、その50周年記念シングルが出ましたが、私はその作詞を担当しました。天童よしみさんといえば1996年にヒットした「珍島物語」が有名ですが、オリコン最高位を見るとびっくりするぐらい順位が低くて、35位なんです。それなのに130万枚売れています。

 

歌の内容は、韓国の珍島に伝わる伝説を元にした話で、普遍性を持った、人と人、家族の絆を描いた歌です。レコード大賞の歌唱賞をはじめとして、いろんな賞を受賞されて、彼女の芸能界におけるステータスを決定づけました。

その歌声は聞き手との間に「物語」を作り出す

「天童さんの非凡なところって何かな」と、一緒に仕事をしながら考えていました。もちろん歌が上手っていうのはありますが、うまさの方向性っていうのが、常に聞き手に向かっているんです。聞き手ファーストとでも言いましょうか。聞く人との間にナラティブ

(narrative)、物語を作り出すんですよね。つまり、聞き手が体感を伴って、記憶に焼き付けることができるような歌声なんです。

 

プロの歌手を名乗る人はたくさんいて、僕もいろんな歌手と仕事をしていますが、その中に「この人が歌うと、まるで自分自身の思い出のアルバムの写真のことを歌っているようだ」と思わせてくれるような歌い手がいます。「あれ、私この話したっけ?」みたいな。それぐらい、自分の身近なとこに入り込んでくるような歌なんです。

 

「歌は世につれ、世は歌につれ」ではないですが、歌が自分の人生の記憶に寄り添って、逆に自分の生き方が歌に影響を受けた、そんな気持ちにさせてくれる。フィクションである歌と自分のノンフィクションを、シームレスに一体化させてくれるような歌声を持った人は、プロの中でもそんなにはいないと思っています。

 

これは歌い手というところにプラスして、生活者として日々どう向き合っているかということが、歌声に出ていると思うんです。今でも八尾に本拠地を構えて活動するという、数少ない地方在住歌手の一人でもあります。僕は普段R&Bとかソウルミュージックとか、いわゆるブラックミュージックに根ざした音楽をやることが多いんですが、天童さんはジャンルを超えた凄みを感じます。日常生活と乖離しない音楽という、何か一つの答えを見せてくださった気がします。

天童よしみと仕事をして…

9月21日にリリースされた「帰郷」の歌詞を書いたんですが、これも彼女の話をいろいろ伺って、自分がどこに立っているかということを忘れない人を主人公にした歌詞にしてみました。まさに天童よしみ版「ふるさと」という感じです。

 

ところで、なぜ天童よしみさんの仕事を松尾潔がやっているの? って、疑問を抱かれた方がいるかもしれません。ポルノグラフィティとか槇原敬之、いきものがかりをプロデュースする、ポップスの名人・本間昭光さんという方がいるのですが、彼は天童さんと同じ小学校中学校に通っていて、後輩に当たるんです。その本間さんが「松尾君、ちょっと手伝ってくれない?」って言われて。「天童よしみさんですか!?」って思ったんですが、「今、俺ソウルミュージックを作らせてもらっている!」っていう実感が得られました。

金曜ドラマ『クロサギ』

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2022.11.24
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