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『サンクチュアリ』脚本・金沢知樹「想定していた主人公は静内だった」!?

やんちゃな力士を主人公に据えながら角界の裏側を描き、世界中で大ヒット中のNetflix配信ドラマ『サンクチュアリ-聖域-』の脚本を手がけた金沢知樹さんが、RKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』に出演。5月29日のインタビューに続いて、30日の放送でも制作秘話を語り、「当初の主人公は、猿桜ではなく(ライバルとして描かれている)静内だった」と明らかにした。

金沢知樹 長崎出身。地元を舞台にした映画『SABAKAN』で監督を務めたほか、TBSテレビ『半沢直樹』の脚本も担当したいま注目の脚本家。かつては芸人として活躍、『あいのり』にも出演したことがある。福岡を拠点に活躍するゴリけんとは芸人時代からの友人。

出身地・九州の人を描きたかった

(ドラマを観た人から)「ワクワクする」とか、「キャラクターひとりひとりが魅力的でちゃんと際立っている」とかよく言われるんですが、キャラクター作りは相当丁寧にやらせてもらいましたね。

あと、地上波のドラマと違って、すごくダークな部分もいろいろ見えるようになっています。例えば、同じ相撲部屋の力士の関係もバチバチだし、部屋と部屋、敵同士、親方同士でもバチバチっていう人間関係なんかも描いています。その中で、エンターテインメント性を持って見られるのは、やっぱり(主人公の)猿桜のキャラクターだろうなと思います。

猿桜を北九州出身にしたのは、僕も監督の江口カンさんも九州出身で、九州が好きだったからなんです。九州って人も面白いし、ご飯も美味しいし…そういうところを物語の中で伝えていきたいんですよ。猿桜を見て、北九州の人が「こんな人いるいる!」って共感してもらえたらなと思います。

リアルが普通のドラマより埋め込まれている

猿桜を演じている一ノ瀬ワタルさんがすごくいいんですよ。1年半体を鍛えて、撮影期間は1年。もう相当きつかったと思います。舞台裏のことを話しているインタビューでは、小指だけで金網にぶら下がって懸垂するシーンは、本当にやっていると話していました。江口カン監督は、ノーリアリティが嫌いなんです。

僕らが作っている物語って、全てウソ(フィクション)なので、ウソにどれだけ本当のことを混ぜていけるかが肝心だって思うんですよね。だから、猿桜が懸垂しているということは本当だから、そのシーンはリアルになっていくし、髪の毛を掴んでしばきあげる場面もやっぱり本気で掴んでいるから、リアルじゃないですか。そういうリアルなものが普通のドラマよりもいっぱい埋め込まれているなということをすごく感じましたね。
 

当初の設定では静内が主人公だった

猿桜のライバルとして登場する力士・静内は顔に火傷があって、一言も喋らない体重220キロの「怪物」という設定です。シナリオを書き始めたとき、僕は静内を主人公にしていたんです。その時、まだ猿桜はいませんでした。『サンクチュアリ –聖域-』は海外の人に向けて作ろうと思っていたので、セリフのない、表情だけの静内というキャラクターを最初に考えたんです。

「一言もセリフを発しない主人公を描き切ってやろう」っていう情熱で書き始めたんですけど、江口カン監督、Netflixの担当者から「一言も発さないと、静かなシーンが多くなっちゃうから、物語にブースターがかからないんじゃないか」と言われました。結局、静内の対極にある、明るいやんちゃなキャラを考ようということになって「猿桜」が生まれました。

そのキャラクターの対比も見ものですし、これから猿桜と静内の2人がどうなるのか、楽しみにしていてほしいです。

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