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厳選!この夏に足を運びたい「九州が全国に誇る屈指の冷泉」
九州サウナの魅力は、九州独自の自然地理環境が織りなす、その土地ならではの唯一無二のサウナ体験、そしてバリエーションの豊富さにあるといえると思います。
本格的な夏を迎えた今、この夏に足を運びたい「九州が全国に誇る屈指の冷泉」を紹介したいと思います!
サウナーにとっての「夏の風物詩」 畑冷泉
福岡県と大分県の県境に位置する福岡県豊前市。
この時期、全国各地からサウナーがこぞって集まる夏季限定のサウナがあります。
この冷泉の気持ちよさに惚れ込み、虜となったサウナーは数知らず…。毎年夏になると、まるで帰巣本能かのように思わず訪れてしまう場所。それが「畑冷泉館」です。
求菩提山の麓にある畑地区では、山中で修行をする修験者である山伏(やまぶし)たちが入山する前に禊ぎを行ったとされる水場が存在し、山伏にとっての禊場は、山の恵みをもたらす神聖な水で俗世の汚れを洗い流す役割を担っていたそうです。
その禊場には樹齢830余年におよぶ大楠が育っており、根元からはなんと一日約1000トンにもおよぶ多量の湧水が湧いており、畑冷泉(はたのれいせん)と名付けられたその水場は、修験者たちがいなくなった後も、御神木から湧く神聖な霊水として永く愛され続けています。
畑冷泉が湧く水神社の隣には、毎年夏の時期の7月から8月にかけてのみオープンする畑冷泉館があります。畑冷泉館は平成6年に冷泉浴ができる施設として建築され、のちにスチームサウナを増設、さらに数年後にドライサウナが増設されて現在の姿に。
畑冷泉館の浴場にあるものはサウナと冷泉のみで、温泉や熱湯といった類のものはありません。ドライサウナとミストサウナの浴場が日替わりで利用でき、どちらの浴場でも贅沢なほどに水量たっぷりな、源泉かけ流しの冷泉浴を楽しむことができます。
ここで大事なのは「主役はあくまで霊水による冷泉浴」であり、サウナはそのための準備の場に過ぎない。ということです。御神木の力が宿る霊水が、冷泉浴を行うための神聖な禊ぎの水になっているのです。
畑冷泉の特徴はなんといっても「そのまろやかな肌あたり」です。
水の冷たさに対して肌への抵抗が少なく、もはや水と身体の境が分からないほどに「身体と水が一体化」する感覚。ここに来れば誰しもが、他のそれとは一線を画する、独特な冷泉の気持ちよさを感じることでしょう。
そして、この冷泉は飲んでもまろやかな口当たりで焼酎や珈琲などにもよく合うんです。
足を運んだ際は、水場でご自宅用にお水を持ち帰って、冷泉を二度楽しむ…なんてこともオススメです。
畑冷泉に癒された後は、施設内の縁側で扇風機に当たりながら寝転がるもよし、隣にある食事処「冷泉茶屋」でサウナ飯もいただくもよし。個人的には、冷泉茶屋でのサウナ後のかき氷がオススメなので、ぜひ足を運んだ際は食べてみてください。
●畑冷泉館
福岡県豊前市畑
電話番号:(0979)82-0976
公式HP:https://www.city.buzen.lg.jp/kanko/tomaru/reisen-chaya.html
RKBオンラインでアーカイブ動画配信中
超軟水の冷鉱泉「有田ヌルヌル温泉」
この夏、オススメしたいもう一つの施設。有田焼によって”陶器のまち”として全国的にも有名な、佐賀県有田町にある「有田ヌルヌル温泉」です。
施設の見た目は、一見どこの町にもありそうな公衆浴場…
券売機で入浴チケットを購入していざ入館!
まず浴場に入って驚くのは、露天風呂スペースに一つ、大きな冷鉱泉による水風呂が鎮座していることです。露天風呂=温風呂という思い込みで、足を入れたお客様が「ヒエッ」とビックリして声を上げている光景を目にすることも少なくありません(笑)
気持ちよさそうな水風呂を横目に、早る気持ちを抑えてサウナ室へ…。
ガスストーブを使用した長年の年季を感じる空間がたまりません。
サウナ室の中では、ラジオの耳心地の良い音声がひたすら流れており、ノスタルジックな雰囲気をより一層醸し出しています。心地よい熱気に包まれ、身を委ねながら、ときどき脇目でデジタル時計を眺めること約10分。
いざ、身体の汗を流して水風呂へ!
有田ヌルヌル温泉の最大の魅力は、その名前の通り泉質の「ヌルヌル感」です。
”美肌の湯”を謳っている温泉は全国各地にありますが、有田ヌルヌル温泉の冷鉱泉は全国でも有数の”美肌の水風呂”といえるでしょう。
ヌルッとした触感が肌を通してはっきりと伝わってくる感覚。
昆布のヌメリを取った後の水くらいにトロットロとした粘力が高い水風呂。
まるで”浸かる化粧水”ともいえる体験を、ぜひ味わってみてください!
露天風呂のベンチで、風にあたりながらしばしの外気浴を行った後、何気なく脱衣場にある水質成分表を見るとびっくり。
なんとph値は平均値を大きく上回る9.4のアルカリ性を多分に含んだ水質の冷鉱泉であり、硬度3.2となる超軟水なんです。
アルカリ性の数値が高く、なおかつ人体に違物感を与える成分含有量が極めて低い泉質。これが有田温泉のトロトロ冷鉱泉の正体といえるでしょう。
有田ヌルヌル温泉のもう一つの魅力。それは冷鉱泉の保水·保湿効果によるサウナ体験です。外気浴を挟んだ後でも、肌の保水状態が永続して続いており、2セット目のサウナでまた違った感覚を味わうことができます。
サウナ室自体の湿度こそ決して高くはありませんが、保水状態の肌の効果も相まって、肌に湿度の膜が張られたかのような状態になり、1セット目よりも、少し高い湿度のサウナに入ってる錯覚に陥り、この感覚を確かめるように、二度、三度とサウナ交互浴を繰り返しちゃうんです…。
サウナ室を上がればお肌がすべっすべになることを確かに感じられる、有田ヌルヌル温泉。
日本一のサウナとして有名な、武雄市にある御船山楽園ホテルのらかんの湯からも、車で20分ほどの場所にあるので、ぜひサウナ旅のルートに組み込んでみてはいかがでしょうか…??
●ヌルヌル有田温泉
佐賀県西松浦郡有田町
電話番号:(0955)42-6988
公式HP:https://www.arita-onsen.com/
RKBオンラインでアーカイブ動画配信中
WRITER
金沢 昂紀
九州のサウナの魅力を紹介するWEBメディアの運営や、サウナにまつわる様々なイベント企画を実施。
コロナ禍ではサウナが好きすぎて自宅にサウナを作ったり、今ではサウナ施設のプロデュースも手掛けるなど、サウナのために汗をかく九州でも無類のサウナフリーク。
紹介サウナスポット県別一覧
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