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幻の魚「クエ」がレトルトカレーに!

幻の魚「クエ」。九州地方ではアラと呼ばれ、刺身で良し、鍋で良しのその味から冬の味覚として人気がある一方、漁獲量は少なく1キロあたり1万円を超えることもある超高級魚だ。

長崎県佐世保市に住む福田明美さん(60)もその味に魅せられた一人。「クエの味をより多くの人に知ってもらいたい」と考えた福田さんは、去年6月「リクヨーファーム」を立ち上げた。挑戦するのはクエの濃厚な出汁を使ったレトルトカレーの開発だ。

クエを国民食ともいわれるカレーにしつつ、保存のきくレトルトにすることでクエの味を全国に発信できると考えた。立ち上げメンバーには高級ホテルで料理長も務め、現在は佐世保市で割烹料理店を営む渡邉達則さん(58)も。カレーづくりは渡邉さんが担当し、和食の技術を活かしたレシピを考案した。

しかし、商品化するためにはレトルトにするための技術の取得や、引きのあるパッケージの製作など課題は山積み。様々な人からアドバイスを受けながら福田さんは課題をひとつずつクリアしていく。

しかし、謎がひとつ。そもそも滅多に獲れないクエをどうやって安定的に仕入れるのか。福田さんは秘策があった。
取材先:合同会社リクヨーファーム
住所:長崎県佐世保市松川町5-2(「旬の味 一粋」内)
TEL:0956-88-7638

取材後記

福田さんの情熱にただただ圧倒される日々だった。
「クエが好き」というそれだけの理由で会社を興し、商品を開発し販売する。しかも、還暦で。カレー自体の開発はもちろん、レトルトにするための加工技術や商品PRの考え方など、新たなことを学びながら前に進んでいく姿には非常に刺激を受けた。人生100年時代。もしかしたら物事を始めるのに遅いということはないのかもしれない。

今回取材したレトルトカレーの画期的な点は、刺身用に身を外した後の頭や中骨が主材料という点だ。本来なら捨てられることが多いこの部分に着目したことは昨今話題のSDGsの精神につながるところもあると思う。第一弾はカレーだが、実はカレーと同じ出汁をベースにしたラーメンやブイヤベース、骨を砕いて練りこんだクッキーなども開発を進めているという。

さて、番組の中でも少し触れたがリクヨーファームでは次の段階としてクエの陸上養殖を始めようとしている。目指しているのは生産から加工、販売まで行うクエの6次産業。技術的な問題は、付き合いのある陸上養殖場の支援もありクリアできているものの、養殖場をつくるための土地が見つからなく困っているという。もしこれを読んだ方で土地の心当たりがあればぜひ福田さんに連絡してもらいたい。

今後、リクヨーファームが陸上養殖も成功して様々なクエ関連商品が生まれれば、もしかしたら日常の食事シーンの選択肢の一つに「クエ」が入ってくるようになるのではないか。個人的にはそんな未来を期待している。

(NBC長崎放送 / 永田瑞樹)

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